2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K19996
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣江 綾香 東京工業大学, 物質理工学院, 研究員 (00709355)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中鎖ポリヒドロキシアルカン酸 / 側鎖長 / 共重合体 / 酵素分解 / 分解セグメント / 分子量 / 3ヒドロキシヘキサン酸(C6モノマー) / 3ヒドロキシドデカン酸(C12モノマー) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新規微生物産生ポリエステルである中鎖ホモポリヒドロキシアルカン酸(中鎖ホモPHA)の生分解性について系統的な調査を行い、良好な物性と生分解性の両立を叶える分子設計について提案・実証することを目的とした。 2020~2021年度は、側鎖長の異なる4種類の中鎖ホモPHA(C6、C8、C10、C12ポリマー)を対象にPseudomonas属細菌由来のPHA分解酵素を用いた酵素分解性評価を行った。各ポリマーエマルション溶液を分解酵素と反応させ、溶媒分画により得られた分解産物および未分解産物の重量、分子量(ESI-TOFMS、GPC)、構造分析(GC-MS)を行った。その結果、C6>C8>C10=C12ポリマーの順、即ち側鎖が短いポリマーほど酵素分解が進行しやすいことが示唆された。 続く2022年度は、分解セグメントの特定を目的とし、6種類の二元共重合体(C6C8、C6C10、C6C12、C8C10、C8C12、C10C12ポリマー)とモノマー分率の異なる5種類のC6C12ポリマー(18:82, 35:65, 52:48, 70:30, 86:14)の酵素分解性について評価した。その結果、C6モノマーを含み且つそのの割合が高い共重合体ほど、分解反応が進行しやすい傾向が確認された。 2023年度は、材料特性の高いC12セグメントに着目し、他の高分子材料の事例を参考に、酵素分解性が発現される条件の調査を行った。酸加水分解よりに各種分子量のC12ポリマー(約6万、1.5万、1万、6千、4千、2千)を調整し、計2回の分解試験を実施したところ、分子量が2千程度まで下がると僅かに(1.4倍程度)酵素分解性が上昇する傾向が見られた。 以上の結果より、分子量2千以下のC12セグメントを主体とし、C6モノマーを含む共重合ポリエステルが良好な物性と生分解性を兼ね備える優良材料候補と結論づけた。
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