2020 Fiscal Year Research-status Report
植物由来芳香族を活用した高耐熱性バイオマス由来アントラキノンポリエステルの創出
Project/Area Number |
20K20000
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
後藤 達也 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (50844940)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオマスプラスチック / ポリエステル / 没食子酸 / α-レソルシル酸 / アントラキノン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、没食子酸の二量体化により得られる1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロキシアントラキノン(ルフィガロール)の2、3、6、7位選択的アルコキシ化による2,3,6,7-テトラアルコキシ-1,5-ジヒドロキシアントラキノン(Gモノマー)の合成を行った。アルコキシ側鎖としては、分岐や環状構造を有するイソプロポキシ基、1-メチルプロポキシ基、2-メチルプロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、シクロヘキサンメトキシ基を選択した。選択的アルコキシ化はハロゲン化アルキルの沸点以下、水酸化ナトリウムとジメチルスルホキシドを使用して約10gバッチにおいて行い、全ての選択的アルコキシ化が進行し目的とするGモノマーを得た。これまでに報告した直鎖アルコキシ基を有するGモノマーと比較して、分岐・環状の構造によらず2級アルコキシ基では収率が低下し、立体障害の影響が確認された。また、分岐・環状アルコキシ基を有するGモノマーは、直鎖アルコキシ基を有するRモノマーとジカルボン酸との界面重合で使用したジクロロメタンへの溶解性を有しており、同様の重合条件が適用可能であることが示唆された。このため、令和3年度以降はこれらのGモノマーに加え、置換基数の少ないα-レソルシル酸由来の3,7-ジアルコキシ-1,5-ジヒドロキシアントラキノン(Rモノマー)を用いたポリエステルの合成を行い、側鎖数・側鎖構造・コモノマーがバイオマス由来アントラキノンポリエステルの成形性や材料物性に与える影響を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画と比べ、コロナ禍により実験不可能な時期があったことから当初の予定よりやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降は、令和2年度に確立した各ハロゲン化アルキルを用いた選択的アルコキシ化を用いた未合成のRモノマーの合成と、GモノマーおよびRモノマーを用いた界面重合によるポリエステルの合成を検討し、得られたポリエステルの溶解性・熱物性・熱分解・力学物性・3次元構造を調査する。また、これらのデータから側鎖数・側鎖構造・コモノマーがバイオマス由来アントラキノンポリエステルの成形性や材料物性に与える影響を検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による実験不可能な期間や学会の中止やオンライン化のため。また、研究の遅れに伴い、バッチアップに必要な器具および試薬の選定や購入が行えなかったため。令和2年度において分岐・環状側鎖を有するモノマーの合成に成功したため、令和3年度に重合条件の最適化を行い、器具や試薬を選定し購入を行う予定である。
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Research Products
(2 results)