2022 Fiscal Year Research-status Report
植物由来芳香族を活用した高耐熱性バイオマス由来アントラキノンポリエステルの創出
Project/Area Number |
20K20000
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
後藤 達也 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (50844940)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオマスプラスチック / ポリエステル / 没食子酸 / α-レソルシル酸 / アントラキノン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、没食子酸から2段階の反応により得られる2,3,6,7-テトラアルコキシ-1,5-ジヒドロキシアントラキノン(Gモノマー)を用いた各種ポリエステルの各種物性解析と大量合成に向けた濃縮条件での界面重合法探索を行った。 Gモノマーと4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルから成る全芳香族ポリエステルでは、動的粘弾性測定においてガラス転移と等方相転移が見られたのに対し、示差走査熱量測定においてガラス転移のみが観測された。詳細に調べるため、偏光顕微鏡において昇温・降温下でGモノマーと4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルから成る全芳香族ポリエステルを観察したが、静置状態で液晶相の形成は見られず非晶であった一方で、応力下で配向組織の形成が確認された。また、Gモノマーと4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルから成る全芳香族ポリエステルのキャストフィルムでは、面内方向と面外方向の異方性を示したGモノマーとテレフタル酸から成る全芳香族ポリエステルのキャストフィルムと異なり、非晶であった。以上から、Gモノマーと4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルから成る全芳香族ポリエステルは、ガラス転移温度以上・応力下で液晶相を形成することが示唆されたため、熱プレス後急冷したフィルムを作成し、偏光顕微鏡観察により液晶相の形成を確認した。また、動的粘弾性測定により観察された温度域で液晶相から等方相に転移することを確認した。 濃縮条件での界面重合法探索では、約40 mLのバッチで約1.2 gのGモノマーを用いたポリエステルの合成法を開発し、前年度の2倍濃度での合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画と比べ、コロナ禍により実験不可能な時期があったことや輸入品類に関わる納期の遅れにより当初の予定より少し遅れが出ているが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、令和4年度に開発した界面重合法を使用したバッチアップ合成に加え、α-レソルシル酸を使用したアントラキノンポリエステルの合成および物性解析を引き続き行う。また、熱成形可能なバイオマス由来アントラキノンポリエステルに関する溶融粘度評価や射出成型、溶融紡糸等を行い、材料評価を通して、バイオマス由来アントラキノンポリエステルの側鎖および主鎖構造が各種物性に与える影響を明らかにすることで、更なる分子設計に関する知見を得る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による学会のオンライン化や、輸入品類の納期遅延、所属機関移動のため、バッチアップに必要な器具および試薬類の選定や購入が困難であったため。
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Research Products
(1 results)