2022 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation for biodiversity and ecosystem services in the mega-cities
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20K20002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 圭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40747234)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 適応進化 / 都市環境 / 生物多様性 / 群集集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、都市における植物の適応進化について論文が2報発行された。都市域において形質が変化したオヒシバを、自然群集へ移植したところ、群集集合が大きく変化したことが確認された。本結果は、人為環境下における生物の適応や進化が、それらの生育する環境の群集集合へ影響を与えうることを示した非常に新しい研究成果である。また、メヒシバおよびオヒシバを対象として、属が異なる種でも同様の平行進化が存在することを確認した。都市域における適応進化は、群集適応における環境フィルターのみならず、競争フィルターにも関係すると考えられ、対象とした2種はむしろ他種との競争の排除により新しい形質への変化が考えられた。これらのメカニズムや今後の研究課題について総説を執筆した。 また都市緑地における植物群集の群集集合パタンの研究についても1報が発行された。土地改変された公園緑地における植物の種組成は長い年月を経るにしたがい、土地改変されていない緑地の植物群集へ近づくことが明らかとなった。これまで群集、特に生物多様性が人為圧力により衰退した場合は、回復が難しいという議論が先行していたが、今回の結果から都市域においては長い年月(今回は130年ほど)で回復が促される可能性について言及できた。一方でこれからもソースとなる都市緑地が減少すると、本結果は過大評価となってしまうため、注意が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、アンケート情報の解析により、都市の生物多様性の認知やその効果について検証を実施予定である。しかしながら2022年初頭にCOVID19の急激な増加を受け、特に東京都における公園緑地の実地アンケートは難しい状況であった。2023年度についても、アンケートの実施が可能であるが、その解析や情報の整理についてはやや遅れが生じるものと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
都市の生物多様性に関する認知および認知が人間の便益に与える影響について、アンケートを用いた情報整理、解析により明らかにする。2年計画であったが2022年度に実施が難しく、今年度のみでデータを収集する必要があるかもしれない。アンケートを実施する人員を増強する、データ解析をシステム化するなど作業の効率化が求められる。 都市域における植物の特性の進化については、さらなる課題を実施予定である。形質のみならず、高温耐性に関する生理生態的な適応進化についても検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度に実施予定であった、都市緑地における実地アンケートがCOVID19により難しかったため。
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Research Products
(3 results)