2022 Fiscal Year Research-status Report
生態系保全策・気候変動適応策の地域間矛盾解消に資する乾燥地フードチェーンの解明
Project/Area Number |
20K20004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 裕太 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50866910)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食料供給 / 地域計画 / 雑穀 / 米 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的を見据え、本年度には主に以下の研究を進めた。まず、中国北部内陸乾燥地における主要な食料供給基地である寧夏回族自治区の状況に焦点を当て、当該地域で開発される稲品種の特徴とその変化を、中国水稲研究所データベースを用いた時系列分析を行い、雑誌『環境情報科学』に原著論文を発表した(査読あり・単著)。これにより、1979~2020年にかけて低アミロース化、高株高化、多産化、生育期間の長期化、必要な施肥量の増加が進んでいることが明らかになった。また生育期間と必要な施肥量の傾向は必ずしも環境負荷を低減する方向には進んでおらず、気候変動に対する適応策の点でも課題が指摘された。加えて、気候変動への適応に有用で、栄養価が高く、かつFAOのGIAHSでもその文化生態的価値が高く評価される雑穀栽培の、乾燥地中国における生産・消費の現状について、河北省張家口市を対象に分析を行い、その成果を原著論文として雑誌『雑穀研究』に発表した(査読あり、単著)。さらに、持続可能な土地利用、景観に関する分野交流の促進を意識し、日本地理学会の機関紙『地理学評論』に、書評(日本景観生態学会編2022.『景観生態学 Landscape Ecology』共立出版)を発表した。さらに、2022年9月に開催された日本地理学会秋季大会では、計画経済期の環境復元、モニタリングのための基盤情報の分析結果を口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年についても、新型コロナウイルス感染症の影響が国内外、とくに中国国内において継続している影響で、現地での情報収集、調査活動の一部が引き続き制限される状況が続いている。一方で、既存のデータベースの利用やカウンターパートとの調整、ならびに新たな研究手法の開発等によって、重要かつ興味深い成果が導かれており、今後もさらなる進展が十分に期待できる状況にあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、新型コロナウイルス感染症の流行および関係国の政策動向をレビューしつつ、現地のカウンターパートの協力による調査の依頼・実施、先行研究のレビューの蓄積による現状の把握、統計情報や衛星画像等を通じた解析等を引き続き並行して進める。さらに、2023年度にはコロナ禍の影響も落ち着いてくることが予想されることから、現地における健康衛生環境には十分に留意しつつ、研究計画に従って、現地と調整の上で食料供給・消費や農業生産に係るフィールドでの調査、取りまとめを進める。以上の成果については、今年度も国内外の学会・学術雑誌への発表、市民向けの講演・発表等を通じて、広く成果を還元することを考えている。さらに、干ばつ等の乾燥地の課題は防災分野でも重点的に議論されていることから、乾燥地の食・農に関する研究の成果を防災の枠組みでも議論し、国際的な議論の方向性に対して成果の還元を試みる。
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Causes of Carryover |
2023年6月にヨルダン王国で開催される乾燥地の諸課題に関する国際会議での研究成果発表、コロナ禍が明けて現地等での食料・土地利用等に関する研究成果の還元、他地域への更なる展開可能性等に関する調査、その他これまでの研究成果の取りまとめ等の作業を行うことを計画している。
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