2022 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of latitudinal gradients and climate-related responses of potential stocks of reef fish-based ecosystem services in the Kuroshio Current region
Project/Area Number |
20K20011
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
佐藤 允昭 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (10805865)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生態系サービス / 気候変動 / サンゴ礁魚類 / 漁業 / 観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではフィリピンから日本沿岸の黒潮流域のサンゴ群落における水産物・観賞魚の供給、ダイビング機会の提供といった魚類生態系サービスの供給可能量を、野外調査で収集した魚類相のデータを基に算出し、その緯度勾配と各緯度帯における過去10~15年間の変化を明らかにすることを目的としている。 2022年度は6月に高知横浪、8月及び11月に石垣伊土名・西表網取、11月に奄美赤尾木・赤木名のサンゴ群落の地点において、1m×20mのトランセクトをそれぞれ5~7本設置し、潜水観察により魚類群集とサンゴ被度のデータを取得した。本研究で取得したデータと2005~2010年の同地点のデータを比較・解析したところ、魚類の種数及び個体数については調査間のばらつきが大きいが西表網取で個体数の減少、沖縄備瀬で種数の増加がみられた。加えて、多変量解析を行ったところ西表網取、奄美赤木名、高知横浪では魚類群集の変化がみられた。西表網取、奄美赤木名、高知横浪の3地点ではサンゴ被度も減少しており、気候変動に伴う環境変化が起きている可能性が示唆された。一方、沖縄備瀬の地点ではサンゴ被度の変化はほとんどなく、種数の増加の要因については判明していない。これが気候変動に起因するのか検証するために、魚類の機能群や種ごとの変化を調べる必要がある。 また、2022年4月にも千葉県館山の1地点で沿岸域の冬期の魚類相データを取得できたため、追加的に検証している魚類生態系サービスの季節変化に関するデータが揃った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の当初の計画ではフィリピンでの調査を行う予定だったがコロナウイルス流行により調査の実施が難しかったため、2021~2022年度に琉球列島で調査回数を夏季と秋季の2回に増やすことで対応した。その結果、亜熱帯の奄美、沖縄本島、八重山諸島で夏季と秋季で過去と比較するための魚類相データを取得できた。一方、魚類相データを用いた生態系サービスの算出をまだ実施できていないため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得した魚類相データを基に魚類生態系サービスを算出し、過去10~15年間の温帯および亜熱帯のサンゴ群落におけるその供給可能量に変化があるか検証する。この結果を学会発表などで発信していく。
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Causes of Carryover |
研究成果の学会発表を行うことができなかったため予算の残額が発生した。この残額は2023年度の国内学会への参加に利用する。
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