2021 Fiscal Year Research-status Report
Environmental and socio-economic evaluation of renewable energy technologies focusing on local economy
Project/Area Number |
20K20016
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兵法 彩 東京大学, 総括プロジェクト機構, 特任研究員 (30790216)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 省エネポテンシャル / 離島地域 / エビデンスに基づく政策立案 / EBPM / 温室効果ガス / カーボンニュートラル |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は市町村における事例研究、地域に適した再生可能エネルギー(以下、再エネ)システムの設計に取り組んだ。事例研究では課題先進地域である離島地域のうち島根県海士町を対象に再エネ導入によるGHG削減効果と地域住民のライフスタイル変革によるGHG削減ポテンシャルを定量的に比較するために、島内世帯を対象とする質問紙調査を行った。島根県海士町では世帯あたりの冷蔵庫保有台数が全国平均よりも大きく、冷蔵庫の廃棄又は買い替えによるGHG削減ポテンシャルが、現在島内に導入されている太陽光発電によるGHG削減効果と同程度になることがわかった。他方、島内の高齢化問題や単身・夫婦世帯の割合も多いことから、単純な買い替え促進政策で十分な効果が得られるかは引き続き検討が必要となる。供給側(再エネ導入)の効果と、需要側の工夫(省エネ)の効果を比較することで、地域に適した政策の議論が可能となり合理的な政策設計が進むことが期待される。これらの成果および地域の社会的受容性を調査した結果をまとめた論文を今年度学術雑誌に投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度成果から市町村を中心とする地域産業連関表の作成実態に関する論文が掲載され、関連するセミナーで地域産業連関表の作成・応用に関する知見を広く発信することの重要性を認識することができ、今後の研究設計に展開することができた。また、2020年度末にオンラインで調査設計に着手した島根県海士町における事例研究を順調に進めることができ、島内の世帯を対象とする質問紙調査やその結果に基づくGHG削減ポテンシャルの推計ができた。調査結果のフィードバックのタイミングで現地調査および意見交換を予定していたが、オミクロン株の流行により島内訪問が困難となり、その代わりに追加でインターネット調査を実施したことで、島内の結果と全国平均の結果の比較・考察が可能となった。これらの成果は2022年3月の日本LCA学会研究発表会の報告で、社会科学の知見を有する研究者の方々との意見交換を通じて、地域における政策設計に寄与する知見や今後の研究展開に向けた有意義な議論を行えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象地域へのフィードバック、現地調査(社会的受容性調査)に関して、地域の方々と相談しながら研究遂行に努める。また、他の地域との関係構築にも努め機会があれば他地域における事例研究を追加的に進めていく。一方で都道府県産業連関表を活用した再エネ導入効果分析に関しては各種統計情報が充実してきているため、適切な加工・活用を通じて地域に適した再エネシステム設計に向けた指標構築を試みる。また再エネ技術と他の手段(省エネなど)との組合せも地域にとって効果的な選択肢となりうるため、サービスデザイン等の知見を有する専門家や地域の受容性に詳しい実務担当者との議論を通じてエビデンスに基づく政策立案を意識したシステム設計を展開する。
|
Causes of Carryover |
オンライン会議の普及により、地域での事例研究は概ね滞りなく進めることができているが、対象地域へのフィードバックを試みる時期にオミクロン株の流行が重なり、現地調査が困難となったため旅費での差額が生じている。また複数の学会がオンライン開催となったことも影響した。2022年度は地域と相談しながらも現地調査を実施予定となっている。また、代替手段としてインターネット調査による情報の収集や統計情報の再加工、詳細な地域データの購入などを検討しながら適切な方法に資金を充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)