2020 Fiscal Year Research-status Report
The social structure of the forest management responsibilty: Approach from the social consciousness for multiple functions
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20K20018
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
芳賀 大地 鳥取大学, 農学部, 助教 (10776438)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 森林管理 / 責務 / 多面的機能 / 森林所有者 / 林業事業体 / 市民 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は岡山県旭川流域の2自治体において聞き取り調査を中心とした基礎調査を実施する計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、大幅な計画変更を行った。結果として、文献収集による対象地の基礎情報の整理と、既往研究の総括が主な作業となった。既往研究の総括では、経済学的視点を主として森林所有者の森林管理における社会的責務について検討をおこなった。 前者については岡山県が発表した「おかやま森林・林業ビジョン」や、岡山県林業改良普及協会発行の「林声」誌の分析、岡山県森林・林業統計などの分析を主に行った。その結果として、従来から指摘されている、ヒノキを中心とした地域の製材需要を中心として駆動している林業構造が維持されていることを確認した。 後者については、まず、森林経営管理法で主張する、「適時の伐採・造林・保育の必要性」とそれに伴う社会的責務について経済学的観点からの整理を試みた。森林の公共材的性質や森林の公益的機能の外部経済性、林業生産の長期性、林地を土地という財としてみた時の性質、といった論点から市場の失敗の可能性を検討した。それに若干の林業生産の現状に対する分析を加え、個人に対して森林管理の責務を問うことの効率性観点からの限界と問題点について指摘を行った。その結果は2020年林業経済学会秋季大会において、「森林所有者の責務に関する試論:効率性の観点からの理論的検証とその課題」として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は岡山県旭川流域の2自治体において聞き取り調査を中心とした基礎調査を実施する計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、大幅な計画変更を余儀なくされた。年度の前半期では一時は新型コロナ感染症の収束気配もあっため、当初計画の微修正で調査を行うことを検討したが、その後の第2波、第3波の感染拡大により、現地での調査を断念した。 結果として、当該年度に実施できた研究としては、当初計画では最終年度に重点的に実施する予定であった、森林管理における森林所有者の社会的責務について、主に経済学の観点から理論的検討を行うことにとどまった。この検討については、本来ならば調査結果をもって議論を発展させることを意図していたものであり、今後も積み重ねて行く必要がある。 以上のように、基礎調査を積み重ねることができなかったことが大きな要因となり、研究の進捗が大幅に遅れている。現在、勤務機関の方針により県外への出張が困難な状況にあるため、調査計画の抜本的な再検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き新型コロナウイルス感染症が拡大している状況下で、研究計画の抜本的見直しを図っている。対面では聞き取り調査は実施できないことを前提とし、質問票の送付による調査や電話調査による代替を行う。対面での聞き取り調査に比べて、取得できる情報に限りがあることが考えられるため、当初計画では本年度において実施予定であった質問紙郵送によるアンケート紙調査の設計を精緻にすることを目指す。具体的には郵送アンケート紙調査におけるパイロットテストを当初計画よりも回数を重ねて行う。アンケート紙調査の分析手法については、多面的機能に対する選考をコンジョイント分析によって、森林所有者の責務については国、県、市町村、林業事業体との比較という形でAHP分析によって行う。また、多面的機能を発揮させるための技術・知識の保有状況についても質問を行う。これによって、知識が多面的機能への選好に与える影響や、森林管理の責務の所在に関する意向についての影響についても検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度計画では、基礎調査として聞き取り調査を中心に計画していたが、新型コロナウィルス感染症拡大のため、ほとんど調査を行うことができなかった。そのため、出張旅費の支出が大幅に減少することとなった。また、アンケート紙調査のパイロットテストについても、聞き取り調査の結果を反映したうえでの設計を予定していたため、計画通り進めることができず、アンケート紙調査関連支出についても多くのものを執行保留とした。
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Research Products
(1 results)