2021 Fiscal Year Research-status Report
地方政府による生態系サービスへの支払の導入に関する研究:森林環境税を事例に
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20K20021
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
吉村 武洋 長野大学, 環境ツーリズム学部, 准教授 (20754857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生態系サービス支払 / PES / 森林環境税 / 地方財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を達成するためには、地方政府による森林環境税(以下、地方森林税)の充当事業を含む、森林・林業政策に関わる各種事業の内容と支出額を、導入団体ごとに把握する必要があり、研究期間の前半は資料収集を集中的に行うこととしていた。他方で、1年度目は、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から出張が制限等され、現地での資料収集は長野県や近隣県(1年度目の後半)が中心となっていた。 本年度は、①1年度目に収集できた長野県データの整理と論文執筆、②1年度目の後半に限定されていた近隣県での資料収集・整理を中心に行った。まず①については、税導入前の3年と導入後10年の計13年(2005~2017年度)の長野県における森林・林業関係支出の推移をまとめることができた。同内容は、関連学会での報告に加え、紀要論文としてまとめ、公表している。主な結果として、税導入に伴い総支出額が増加していること、地方森林税が財源として一定の割合を占めていること等を明らかにした。②については、石川県と富山県を中心に不足データを補うことができ、長野県と異なる結果が示された。同内容は、関連学会で報告し、多くのコメントを得ることができた。同内容は、論文投稿を通じて公表する予定である。さらに、比較対象として、地方森林税未導入団体の状況を確認するため、一部の近隣県へ出張し、資料の一端を確認することができた。前年度の課題であった、財政資料の作成方法や情報公開のあり方の違い等の克服は、引き続き重要な課題ではあるものの、現地調査を通じて、一定の共通軸が見いだせる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各団体で、どの程度の資料が存在するかを確認するためには、行政資料室のほか、現地図書室等の訪問が不可欠である。しかしながら、新型コロナウィルス感染症対応に伴う初年度の遅れと、2年度目後半に生じた感染再拡大に伴う行動自粛、所属機関変更への対応により、やや遅れた状態が継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
所属機関の変更に伴い、当初予定していた分析対象の近隣地を研究拠点とできたことを生かし対処する。また、新型コロナウィルス感染拡大防止に努めつつ、引き続き現地の行政担当者や図書室などと連携を深めていき、資料収集を円滑に進められるようにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、遠方への出張がほとんどできなかったため、旅費の支出が限定的となった。また、学会報告に伴う旅費等の支出も限定的となった。次年度は、感染拡大防止に努めつつ、近隣県や感染が広がっていない地域での長期滞在、新たな所属機関における必要な機器等の購入のために利用する。
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Research Products
(3 results)