2023 Fiscal Year Research-status Report
The Political Economy of Energy Transitions in China and India
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20K20024
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
林 大祐 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (50732848)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エネルギー転換 / 政治経済学 / 中国 / インド / 石炭 / 再生可能エネルギー / 電力市場規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国とインドの電力部門におけるエネルギー転換の政治経済的な問題構造を、石炭火力発電と再生可能エネルギーの関係性及び電力市場規制に焦点を当てて明らかにすることである。2023年度の研究課題は、2022年度に実施できなかったインドでの現地調査を行い、インドのエネルギー転換に影響する政治経済的な要因を分析することであった。 2023年度はインドに2回赴き、研究機関(インド工科大学デリー校、エネルギー資源研究所、iForest)、市民社会組織(Swaniti Initiative、Climate Action Network South Asia)、電力会社(ナショナル・サーマル・パワー社)へのインタビューを実施し、India Coal Conference 2023に参加してインドの石炭産業に関する情報収集を行った。国際的に化石燃料からの脱却が求められるなか、インドでもエネルギー転換の議論が始まっており、採炭や石炭火力発電に依存する貧困地域への支援を含む「公正なエネルギー転換」の必要性が指摘されている。ただし、インドでは当面は石炭が主要なエネルギー源として維持される見込みであるため、石炭からの完全な脱却よりも、石炭をいかにクリーンに利用するかの議論が必要であるとの見方が強い。インドでは石炭火力発電所からの二酸化炭素排出削減策として、炭素隔離貯留やグリーン水素などが注目を集めており、本研究でもこれらの動向を視野に入れる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で現地調査を実施できない期間が続いたが、2023年度にインドでの現地調査を2回行い、進捗状況を改善することができた。ただし、中国での現地調査は未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は中国での現地調査を実施し、中国とインドのエネルギー転換の政治経済的な要因を、特に石炭火力発電に着目して比較分析する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で現地調査を実施できない期間が続いたことが理由である。次年度は中国での現地調査などに残りの研究予算を充てる。
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