2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20028
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Research Institution | Kansai Gaidai College |
Principal Investigator |
宮本 舞 関西外国語大学短期大学部, 英米語学科, 助教 (00844713)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境イノベーション / 特許 / 再生可能エネルギー / 環境経済学 / 計量経済分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次の2点の研究に取り組んでいる。 ・研究A「特許の質を考慮した環境イノベーションに関する実証研究」 ・研究B「貿易統計を用いた環境イノベーション普及に関する実証研究」 本年度は研究Bについて再生可能エネルギー分野を対象に分析をおこなった。昨年度作成したデータベースを使用し、国際貿易における重力モデルに各国の技術開発力を表す変数を追加して、分析をおこなった。太陽光と風力の二つのエネルギー源を対象としてそれぞれ推計をおこなった。 その結果、風力発電に関連した製品については貿易取引額の増加に対して、輸出国の技術水準が正の影響、輸入国の技術水準が負の影響を与えていることが分かった。しかし、太陽光発電に関連した製品についてはモデルによって結果が異なり、風力ほど強い影響は観察されなかった。気候変動緩和に関連した産業の発展に関して、エネルギー源の違いによって対照的なパターンが存在することを示唆された。 また、研究A及び研究Bでの特許データ抽出や分析手法を原子力発電分野に応用し、特許データを用いて原子力発電と廃炉関連技術の技術開発状況を明らかにし、福島原子力発電所事故がそれらの技術開発に与えた影響を考察した。福島原子力発電所事故がもたらした影響は原子力発電の利用に限らず、日本及び世界の原子力発電に関する特許出願数を減少させた可能性が示唆された。また、福島原子力発電所事故が廃炉関連技術の特許出願数増加や国際的な技術普及を促進させた可能性も確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画における分析については一部遅れはあるもの、当該研究の手法を原子力発電分野に応用した論文を1つ発表した。また、セミナー等での報告や参加を通して有益な意見交換をおこなった。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度である次年度は主に分析結果の論文化および研究成果の発表に努める。また、これまで再生可能エネルギー分野を対象におこなった研究を次世代自動車分野にも応用し、結果の比較をおこなう。再生可能エネルギー、次世代自動車分野ともに近年急速に技術開発の状況や製品普及の施策が変化している産業分野であることから、現状使用している特許データベースを最新のものに拡張し、さらなる結果の頑健性の確認もおこないたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症拡大により、学会参加や打ち合わせの実施を見送り、一部研究費支出計画に差が生じた。 また、所属機関先変更に伴い、物品の購入時期を遅らせたことも一因である。
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