2020 Fiscal Year Research-status Report
タイ沿岸部における地域の災害レジリエンス評価指標の開発
Project/Area Number |
20K20035
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
松本 京子 富山県立大学, 工学部, 研究員 (20774201)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気候変動適応策 / 地域コミュニティ / タイ / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動の進行により発生しうる極端現象に対して、被害を極力抑え、乗り越え復活するレジリエンスの向上には、地域の実情に合わせ、地域レベルの関係者間の連携が必須である。各ステークホルダーの役割や責任、災害リスク認知が異なるにもかかわらず、意思決定者間のコミュニケーション不足が問題となっている。そこで本研究では、タイ東北部コーンケン県の50世帯の農業従事者を対象に、気候変動とそれによる影響に対する意識と適応策に関するアンケート調査を行った。先行研究を参考に非構造化インタビュー調査を実施し、その調査結果を基に調査票を英語で作成し、タイ語に翻訳した後,タイ語による対面式調査を実施した。 令和2年度は、これまでに入手したデータの分析を行った。過去10年で地域の気候が変化していると感じると全回答者が回答した一方、変化する気候への対応策は、「受け入れる」の回答が最も多く、次に「何もしない」、「作物の種類の変更」、「種まきや収穫時期をずらす」の順に回答が多い結果となった。自然災害の発生頻度が増加した場合、適応策を実施する意欲については、「決めることができない」(62%)が最も多く、次に「適応策を実施しない」(30%)、「適応策を実施する」(8%)の順に回答者が多くなった。適応策を実施するかどうか決めることができない人々には、適切な情報を提供することで適応策を実施する可能性があり、長期的視点に立った適応策の実施には、地域レベルでの気候情報が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響による渡航制限により、当初予定していた現地での各ステークホルダーの災害リスク認知に関するインタビュー調査が実施できなかった。そのため、これまでに入手している農業従事者を対象としたアンケート調査のデータ解析を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスが収束し渡航制限が緩和され次第、タイへの渡航を調整し現地調査を実施する。インタビュー調査から、ステークホルダー分析を用いて、沿岸域のガバナンスに関わるステークホルダーを抽出し、異なるレベルでのそれぞれの役割と責任、利害関係や相互期待を明示化した上で、各ステークホルダーの災害リスク認知を評価し、そのギャップを明らかにし、関係者間の相互理解の促進と連携体制の構築に向けた提言を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響による渡航制限のため、現地調査が実施できなかった。現地調査にかかる旅費は来年度以降に使用する。新型コロナウイルスが収束次第、現地調査を実施する予定である。
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