2020 Fiscal Year Research-status Report
「植民地大学」の法学研究・教育に関する研究-台北帝国大学文政学部政学科を中心に-
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20K20039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
謝 政徳 大阪大学, 法学研究科, 招へい研究員 (10718761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 植民地大学 / 台北帝国大学 / 文政学部政学科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、台北帝国大学の文政学部政学科で行っていた法学研究・教育を、制度面(設立の理由、教官の人事)と実態面(教官の研究活動、学生の動向)から実証的に分析することにより、植民地台湾や戦後の台湾に与えた影響の一端を明らかにするとともに、台北帝国大学の台湾における近代法理念の定着に果たした役割の解明を試みるものである。 初年度においては、台北帝国大学文政学部政学科の設置背景の解明に分析の重点を置いた。当初では、台北帝国大学創設にかかわる当時の政治家、官僚、教育界、台湾社会などからの議論を、國史館臺灣文献館の『台湾総督府公文類纂』と国立国会図書館憲政資料室所蔵の政治家・官僚等の私文書、『台湾日日新報』などから収集・検討を進めると予定した。しかし、新型コロナウイルス感染症感染拡大のため、当初予定した国会図書館憲政資料室での資料調査はできなくなった。それでもインターネットを通じて、国立国会図書館デジタルコレクション、国立公文書館、アジア歴史資料センター、国立台湾図書館電子資源、台湾歴史档案資源網などから研究課題に関連する史資料を積極的に収集・検討することができた。 また、研究課題に関連する史資料を収集し分析する作業を並行して、比較研究のために植民地朝鮮の法学教育に関する学術文献や論文を収集・検討する作業にも当たった。植民地朝鮮では、1924年の京城帝国大学法文学部が設立される以前、旧韓国時代の法官養成学校を改組した、主に朝鮮人男子を入学対象とする「京城法学専門学校」の存在が判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に、国会図書館・国立公文書館での台北帝国大学創設に関わっていた政治家の所蔵関係資料、立法資料の集中調査を予定していたが、新型コロナウイルスの蔓延状況を受けて調査を延期せざるを得なかったため。 本年度は当初予定した資料調査を実施できなかったものの、文政学部政学科の設立に関するこれまでの研究成果をある程度押さえることができたことに加えて、植民地朝鮮の法学教育のありようについても一定の実証的な考察を行ったため、今後の調査すべき課題を理解、認識することができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究の整理を通じて得られた知見を踏まえて、今後は、研究計画の通り、文政学部政学科の実態(教官人事と研究活動、所属学生の動向など)について検討・分析を進める。インターネットを通じて可能な関係資料の収集を積極的に行いながら、新型コロナウイルス感染症の収束を待ってから日本と台湾における史資料の調査・収集作業を再開したいと考える。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症感染拡大のため、当初予定した東京での資料調査が実施できなかったため。 (使用計画)研究資料の購入や新型コロナウイルスの流行が収まってから資料調査の旅費に繰り越して使用する予定である。
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