2020 Fiscal Year Research-status Report
トルコにおける国有林内の不法占拠村落の実態と森林共同管理の可能性
Project/Area Number |
20K20041
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
前田 千春 兵庫県立大学, 地域創造機構, 特任助教 (40825577)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 森林政策 / 国有林 / トルコ / 森林管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①国有林管理組織である林業総局、②国有林内の不法占拠村落の住民、③森林学部を設置する大学の教員・研究者という多方面への調査を実施することで、トルコにおける不法占拠村落の形成過程や実態を解明する予定である。 令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で予定していたトルコでの現地調査が実施できなかったため、文献レビューおよび関連する法律や統計の分析を中心に研究を進めた。その結果、トルコの国有林管理の動向と課題について以下の点を把握した。 1)1950年の森林法改正以降、3ha以上の森林の全てが国有林として指定されたため、現在では森林面積のうちの99.5%が国有林となっている。 2)国有林内および周辺部に人口の約1割にあたる700万人もの人々が居住し、不法占拠村落を形成している。こうした不法占拠村落は全国に2万以上あると推計されている。さらに、近年は経済成長の停滞や受け入れ難民の増加により、不法占拠村落数および違法伐採件数が増加傾向にあるなど、国有林への圧力は深刻化している。 3)国有林管理組織である林業総局では、不法占拠村落対策として森林村落発展計画を策定し、国有林における林業活動に村落住民を優先して雇用し、国有林から生産された木材や薪材を村落住民に低価格で販売するなどの圧力低減対策を講じている。しかし、林業総局の政策を住民本位ではなく森林保全のみを優先するものだとして非難する声も聞かれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で予定していたトルコでの現地調査が実施できなかったため、当初の計画よりも大幅に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の影響により、現状では令和3年度におけるトルコでの現地調査の実施は困難であることが予想される。そのため、引き続き文献レビューおよび関連する法律や統計の分析を中心に研究を進めながら、オンラインで林業総局の職員に聞き取り調査を実施する。 トルコでの現地調査については準備を進めつつ、できるだけ早く実施できる機会を見出したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、令和2年度に計画していたトルコでの現地調査を実施できず延期したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額分は延期した現地調査を実施する際の旅費として使用する。
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