2023 Fiscal Year Annual Research Report
Democracies without Mass Parties: The Case of South Korea
Project/Area Number |
20K20046
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
縄倉 晶雄 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (60806587)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 政党 / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、後発民主主義国である韓国における政党の民意代弁能力を検証してきた。当初2か年は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国外渡航規制の影響を受け、文献レビューを中心とした研究を実施した。その結果、理念や思想に基づくクリーヴィッジを形成することが困難な環境下、韓国の主要政党は、利益誘導を通じて国内の特定地域を票田とする、いわゆる地域主義を形成し、維持する強い動機があることを明らかにした。 延長手続きをとった上で実施した3年目及び4年目は、韓国国内における政界関係者へのインタビュー調査も実施した。本研究では、政党政治を通じて利害関係を表出し、利益実現を図ろうとするアクターとして労働組合に注目し、社会階層としての労働者の利益を代弁する政党が議会で多数派を形成しにくい韓国において、政党は労働者の利益をどの程度代弁しているのかを検証した。その結果、上述のように韓国の主要政党は特定地域の利益代弁者としての性格を持っており、労働者の利益代弁者としての性格は弱くなるものの、労働組合の側もその点を織り込んだ利益実現戦略をとっていることを明らかにした。即ち、韓国の主要ナショナルセンターの一つである韓国労総は、主要2政党双方に組織内候補を送り込んでおり、当該組織内候補を通じて主要政党内部の懐柔策をとるなどして、労組寄りが鮮明な政党の存在か限られている状況下にあっても、自分たちの利益実現につながる法の制定を実現させていることを明らかにした。 以上より本研究は、韓国の主要政党は社会階層に基づく民意の代弁能力は高くないものの、社会階層の側もそれを見込んだ行動をとり、利益実現を図っている状況があることを示した。
|