2020 Fiscal Year Research-status Report
Financing of micro, small, and medium enterprises in Africa and a change in the conventional finance
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20K20049
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井手上 和代 立命館大学, 国際関係学部, 嘱託講師 (00838435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アフリカ / 中小零細企業 / インフォーマル / 資金調達 / 情報通信技術 / デジタル金融 / 製造業 / 生産形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、サハラ以南アフリカにおける情報通信技術を用いた金融の発展に着目しつつ、インフォーマルな小規模・零細製造業者の資金調達構造と在来金融の変容について解明することを目的とするものである。近年、アフリカなど一部のアフリカ諸国において、情報通信技術を用いた金融サービスが急速な広まりを見せており、これまでのアフリカにおける信用制約の問題を緩和する効果が期待されている。これまでの開発金融論では、アフリカでは他の途上国地域と比べて取引コストが高く、既存の金融仲介サービスが広範に浸透しにくく企業の生産活動の障害となっていると指摘されてきたが、本研究を通じて、対象地域ではインフォーマルな経済活動を行う零細企業家においても情報通信技術を用いて資金調達を行い、生産活動を行っていることが明らかになってきた。
初年度である2020年度は、世界的な新型コロナウィルスの感染拡大のため、当初8月~9月に予定していたケニアでの現地調査は延期せざるを得なかったが、インフォーマルセクターや途上国における企業金融全般の研究成果をレビューし、その知見を整理するとともに、これまでの研究結果に基づいて成果を公表することに取り組んだ。
成果は次の通りである。第1に、ケニアの小規模・零細製造業者の資金調達の実態について分析を行った。その結果、情報通信技術を用いた金融の普及は、金融アクセスの多様化とともに、ケニアにおける在来金融からのモバイル・マネーを通じた資金シフトを促進し、中小零細事業主にとって新たな資金調達手段の広がりをもたらしていることが明らかとなった。第2に上記の研究成果を日本アフリカ学会(5月)、韓国アフリカ学会(12月)で報告を行い、両国における研究者からのフィードバックを得た。第3に、モーリシャスの地場企業と工業化の資金的つながりについての研究を論文としてまとめ公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は国内学会で報告を行い、研究を精緻化するとともに、8月~9月に現地調査を行うことを予定していた。学会報告については、国内学会(アフリカ学会)および国際会議(韓国アフリカ学会)で研究の成果を発表することができた。加えて、これまで進めてきたモーリシャスの地場企業についての研究成果を論文として公表した。しかしながら、現地調査を通じたデータの収集については、新型コロナウィルスの感染拡大によって実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた2021年度の研究活動計画は、研究成果の中間報告および現地調査に基づくデータ取集・分析である。しかし、次年度においても新型コロナウィルスの感染拡大が収束していないため、現地調査の実施が依然として困難であることが予想される。そのため現地研究補助者の協力を得ながら、オンラインインタビューを実施し、データの収集・分析を行い研究を進めていくことを予定している。
現地の研究補助員とは、オンラインを通じてケニアの感染状況について確認するとともに、現地オンラインインタビューの実現可能性について検討を重ねてきた。今後のケニアにおける感染拡大状況にもよるが、事前にインタビューを行うことを予定していた対象者が少数であること、補助員の協力を得ることが可能であることに鑑みて十分な感染対策を取った上で、オンラインでインタビューを行うことを検討している。今後はオンラインインタビューを通じてのデータ収集と分析、成果の公表を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2020年度に予定していた現地調査が新型コロナウィルスの感染拡大のため実施できず、「旅費」の支払いが生じなかったためである。今後の使用計画については、次年度も引き続き現地調査が困難であることが予想されるため、オンラインインタビューを実施することを検討しており、それに伴う諸経費としての使用を計画している。
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Research Products
(4 results)