2022 Fiscal Year Research-status Report
Financing of micro, small, and medium enterprises in Africa and a change in the conventional finance
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20K20049
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
井手上 和代 明治学院大学, 国際学部, 講師 (00838435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アフリカ / 製造業 / モバイルマネー / 金属加工 / 企業者能力 / インフォーマル / ものづくり / 長期資金 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度における当初の研究計画は、国内外に向けた研究成果の発信を予定していた。しかしながら、前年度(令和3年度)に新型コロナウィルスの感染拡大により、現地調査を実施することができなかったため、令和4年度はケニアの首都ナイロビでの現地調査を実施した。また、補足的な調査として、日本における金属加工の集積地である東大阪市、新潟県燕三条で工場訪問を実施し、金属加工のものづくりに関する分析視角を得た。加えて、これまでの研究成果をまとめ、学会・研究会で報告するとともに、国際学術雑誌への投稿準備を進めた。
今年度の具体的な研究成果は以下の通りである。第一に、前年度に実施したオンライン調査を踏まえて、ケニアのナイロビにおける小規模零細の金属加工の事業者にものづくりの実態と資金調達に関するインタビュー調査を実施した。同地区ではインフォーマルあるいはセミフォーマルな金属加工が行われているが、技術加工度は機械を用いていることもあり比較的高く、長期的な資金調達の需要が高い。そのため、ケニアで広範に用いられているモバイル・バンキングの利用は限定的であることがわかった。第二に、日本における金属加工の集積地である東大阪市および燕三条での製造業者への聞き取り調査を行い、金属加工の製造過程を分析する上での分析視角を獲得した。これを踏まえて、現地では企業者的能力に関する質的なインタビュー調査を実施した。第三に、以上の現地調査を踏まえて、国際開発学会や金融デジタル化研究会等で研究会成果の報告を行い、フィードバックを得た。これを踏まえて、国際学術雑誌への投稿準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、2022年度は本研究の最終年度にあたり、国内外への研究成果の発表を予定していた。しかしながら、本研究がスタートした2020年度より、新型コロナウィルスの感染拡大のため、予定していた現地調査が実施できず、研究計画に遅れが生じた。
コロナ禍においては、オンラインでの現地調査や国内調査を実施するなど、研究を遂行してきた。その過程で、企業の資金需要を規定する固定資本を中心とした企業の実物投資のあり方や、インフォーマルな製造業者をとりまく生産環境および生産活動の実態、企業者的な能力について現地調査を通じて把握する必要が生じた。
以上の理由により、本研究では現地調査のための事前準備として、日本における金属加工の集積地である東大阪および燕三条の金属加工業者を訪問し、金属加工についての分析視角を得た。その後、新型コロナウィルスのワクチン接種が進んだことや渡航が可能になったことを踏まえて、2022年9月に現地調査を実施した。本研究では、現地調査で得られたデータを元に分析を行い、その研究成果を国際開発学会、Global Collaborative Research 金融デジタル化研究会、JICA主催のアフリカ行政官向け研修にて報告した。そこでの意見やフィードバックを踏まえて、国際学術論文への投稿および共著書籍出版の準備を現在進めている。以上の進捗状況を踏まえて、2022年度は本研究の最終年度であるが、本研究の1年間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はこれまでの研究成果を踏まえて、国際学術論文への投稿およびアフリカ経済開発に関する共著書籍の出版を計画している。
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Causes of Carryover |
本研究は令和2年~4年の計3回にわたって現地調査のための渡航を計画していた。しかしながら、本研究がスタートした令和2年より新型コロナウィルスが感染拡大し、渡航を断念せざるを得なかった。そのため、本研究では令和3年度に補足的なオンライン調査を実施し、感染拡大が落ち着きを取り戻した令和4年度に現地調査を実施した。そのために、当初の研究計画に伴う支出予定に大幅な変更が生じ、次年度における使用額が生じた。このため、本研究を1年間延長し、調査や研究成果に伴う支出を計画している。
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