2022 Fiscal Year Research-status Report
Caste and Dalit Movements in Golobalized, Neoliberal and Hindu India
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20K20059
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
鈴木 真弥 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (30725180)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 南アジア / インド / カースト / ダリト / ダリト運動 / グローバル化 / 新自由主義 / ヒンドゥーナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究活動は、以下の通りである。 引き続き、①国内大学・研究所図書館での資料収集と各主題についての分析を進めた。2022年度夏頃から海外渡航の制限が緩和されてきた状況を受けて、これまで過去2年間に中止していた②海外調査(インド)を再開することができた。③は、主題AとDに関する研究報告(タイトル「北インドのatrocity事件にみるカースト対立と抗議のかたち」、大東文化大学東洋研究所 2022年度第1回研究会、2022年10月8日)を行い、参加者から有益なフィードバックを受けることができた。④の研究成果として、現在は昨年度の国際学会、European Conference on South Asian Studies(ECSAS)で報告した内容に基づいた英語論文を投稿し、現在査読結果を待つ状況である。また単著の刊行に向けて執筆を進めている。 加えて、一般向けに申請者のテーマを解説する試みとして、現代インドのカーストに関する章を執筆し、刊行された(「第4章 関係性に埋め込まれたカースト」、小磯千尋・小松久恵編『インド文化読本』丸善出版、2022年11月:48-61)。 ②の現地調査に関しては、まず9月上旬に1週間ほど、デリーで現地調査を行った。短期間であったため、2020-21年度の期間に起きた暴力事件とその再調査を要求する公益訴訟活動に関する聞き取り調査を実施した。さらに3月上旬から下旬にかけて、現地調査(デリー、アムリトサル、プネー、ムンバイ)を行った。デリーでは暴力事件の再調査に関する公益訴訟活動のフォローアップを行った。そのほかの地域では、ダリト運動の関係者や研究者と面会し、主題Cに関わるアムリトサルの新しい寺院建設の動向、ムンバイでは自治体清掃職員の生活調査、およびダリト運動の状況について聞き取り調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外渡航の制限が緩和されたため、インド調査を再開することができた。国内では、引き続き資料収集と分析を行うことができた。しかし、主題Cに関するダリト運動のグローバル化については、イギリスの現地調査がウクライナ戦争による航空券および滞在費の高騰で実施が困難であることから、当初予定していたインタビュー調査を実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最初の2年間の海外渡航が中止となったため、残りの2年間で予定していたすべての調査を行うことは難しい。インド調査を再開することはできたが、イギリス調査はウクライナ戦争の影響を受けて、航空券および滞在費が非常に高額となっており、予算の中で予定していた回数を渡航することはほぼ不可能である。こうした状況を踏まえて、インドを中心にした調査計画を検討し直す必要があると考える。同時に、国内では引き続き資料収集と分析を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度から2021年度の2年間は、新型コロナウイルスの影響で予定していたすべての海外調査と学会発表にかかる旅費がキャンセルとなった。また2022年度は予定していたイギリス調査が渡航費と滞在費の大幅な値上がりのため、断念せざるを得なかった。そのため、 予算の大半を執行できず、図書や物品購入などに使用された。最終年度の2023年度に残額を繰り越して、延期していた研究活動を可能な限り実施したいと考える。
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