2023 Fiscal Year Research-status Report
Institutional Social Elite Control in Contemporary Monarchies: Comparative Study of Moroccan and Jordanian Cases
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20K20061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 駿 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任助教 (40828563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中東君主制 / 権威主義体制 / ヨルダン / モロッコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヨルダン、モロッコの比較事例研究を通し、中東の強権的な君主制が統治機構を利用して社会的なエリートを統制するプロセスの実態を明らかにすることを目的とするものである。本研究は特に、社会構成(特にエスニシティ)や制度配置(特に政党組織の配置)に注目し、中東君主制における社会エリート統制を探求している。この課題を達成するため、本研究では、1. ヨルダン・モロッコ両国を対象に、1992年から2019年の閣僚人事動向、および閣僚経験者の経歴と、社会的地位に関する情報を収集するとともに、2. 両国の同時期における政党システムの発展の経路を追い、3. その関係性を考察するという構想を持っている。
本研究はコロナ禍の中で開始することとなり、研究期間の前半では現地調査の遅れが大きかったが、昨年度よりその遅れを取り戻しつつある。本年度は現地調査をヨルダンにて実施することができ、資料収集・現地ジャーナリスト、研究者との意見交換をさらに進めることができた。新たに得られた資料と組み合わせることにより、これまでの分析を深めることができている。加えて、中東情勢が大きく展開する中で現地調査を実施することができたため、社会エリート統制をめぐる外的な背景についても分析を深めることができた。
研究成果発表についても継続的に実施している。国内外の研究者との議論を通して、ヨルダンおよび中東君主制の社会エリート統制の様々な側面について知見を広げることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き、現地調査を実施することができたことは研究の進捗においてプラスであった。現地で得られた情報を通して、様々な視点から分析を進めることができている。しかし、研究期間前半での現地調査の遅れを取り戻すには至っておらず、積み残しを埋めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨルダンの事例に関する調査、分析はほとんど完了しており、モロッコの事例に関する調査、分析を中心的に進める。現在手元にあるデータを現地調査によって補完することで、分析を深めていく。その上で、成果の取りまとめも進める。
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Causes of Carryover |
本研究は海外現地調査を主要な活動とするものであるが、コロナ禍により海外渡航を実施できない期間が存在したため、未使用額が生じている。次年度使用額は海外現地調査を中心に使用する予定である。
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