2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢化期ベトナム農村での非農業就労による世帯・地域社会への影響と組織・制度の役割
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20K20064
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
藤倉 哲郎 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (70722825)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ベトナム / 農村 / 紅河デルタ / 人口動態 / 戦争と人口 |
Outline of Annual Research Achievements |
北部ベトナム・紅河デルタ農村における一村落悉皆調査データベースを用いた人口動態分析を引き続き進めた。①前年度までの分析結果で明らかになっていた、若い世代にかけての婚姻圏の広がりを、地理的に把握するために、婚姻関係データのさらなる整理・分析と、ベースマップの作成、婚姻関係にある男女の出生地情報の地図上への描画作業を実施した。②調査村の人口構造を、全国レベルおよび地域レベルのものと比較して、その特徴を把握するために、1970年代以降の人口センサスデータおよび各地方省統計年鑑の入手とデータ分析を実施した。③調査村の人口移動について1995年と2015年の2時点間の比較だけでなく、人口移動が活発化する時期や世代別年齢別の違いをあきらかにするために、2000年、2005年、2010年のデータを含めた、5年毎の移動分析を実施した。 ①過去20年間に認められるのは一方的な婚姻圏の広がりではなく、配偶者出生地が隣村であるか遠方であるかの二極的な状況を経て、隣村含めた同地方省内を多数の婚姻圏とする状況に変わってきている様子が判明した。②戦争による人口構造への影響(例えば性比の偏り)は少なくなっているものの、国際比較(タイの人口センサスとの比較)をすると依然としてベトナムの人口構造では高齢者での性比の不自然な偏りが残存していることが判明した。調査村の人口構造においても、戦時期に青年層だったコーホートの他のコーホートに比した小人口や性比の偏りは、戦争の影響と見るのが自然であることが分かったが、他の特筆すべき特徴の把握までにはいたらなかった。③各世代ごとの動態を把握するために適切な形で設計された表・グラフの作成まではいたったが、具体的な世代ごと性別ごとの特質を叙述するまでにはいたらず、次年度の課題として残った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
渡航条件は緩和されたものの、調査地への渡航が長期間途絶えていたため、現地情報とりわけ新型コロナウィルスの感染状況や感染対策に関する情報、現地住民への聞取りの再開の判断に関わる市民生活における感染症への意識の把握、さらに調査協力者との意思疎通など、調査実施体制の再構築に、想定していたよりも時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現地の市民生活や人々のリスク意識は、新型コロナウィルス感染症以前にほぼ戻っており、現地調査が再開できることが確認されたため、2023年度より順次、計画していた現地調査を実施に移す。現地渡航が制限されていた期間に整理された過去のデータを活用し、現地住民へのヒアリングを効率よく実施する。
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Causes of Carryover |
本格的な現地調査の再開までにいたらなかったため、謝金等の現地調査予算の執行ができなかったため。現地調査の再開の目途がたっており、順次、現地調査費として執行していく。
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