2023 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルにおける社会課題解決と地域経済発展に関する研究
Project/Area Number |
20K20071
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
河合 沙織 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60734499)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会課題 / 地域経済発展 / 国際協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ブラジルの地域経済発展と社会課題について近接・関連分野の海外研究者と共同研究を行うことで,特定地域が抱える社会課題をグローバルイシューと関連付けて整理し,解決策の模索に必要な議論を明らかにすることを目的としている。2023年度は,ブラジリア大学国際関係研究所の客員研究員として在外研究を行った。マクロレベルでの政治経済動向について,過去20年間のブラジル経済を振り返り,経済分野において進められてきた改革の進捗と,外部環境や分極化した世論を踏まえた現政権の課題を明らかにした論考をまとめ発表した。社会課題解決に資するプロジェクトに着目した研究については,保健医療分野の社会課題に関して,共同研究者であるブラジリア大学のRodrigo Pires de Campos教授との共同研究を進めた。グローバルヘルスや国際協力論の文脈において日本の政府開発援助がどのような役割を果たしてきたのかに関する論文(Campos&Kawai, 2023)を発展させ,パンデミック前後での日本の国際協力の特徴をOECDのデータを用いて他国との比較において明らかにした研究を2024年2月に開催された国際会議で報告した。また,社会課題解決に向けた日本のODAの動向について最新の開発協力大綱や外交青書と関連付けて考察した研究報告を2023年10月と2024年3月に行い,近接・関連分野の研究者と議論を行った。ブラジルが直面する社会課題については,「制度の劣化」をもたらした政治的背景を整理した上で,現政権が取り組む具体的な施策を交えた論考を2024年1月に発表し,政府と市場以外の社会課題解決に資するアクターとして特定のNGOに着目し,コロナ禍前後で社会連帯経済の実践主体の取り組みがどのように展開されてきたのかを明らかにする事例研究を行った(近刊)。
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