2021 Fiscal Year Research-status Report
農山漁村地域における住民の対外国人意識に関する研究
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20K20082
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Research Institution | The University of Fukuchiyama |
Principal Investigator |
張 明軍 福知山公立大学, 地域経営学部, 准教授 (20785307)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インバウンド観光 / 異文化受容意識 / 住民参加 / 観光地づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の取り組みは主に新型コロナウイルス感染症によるパンデミックを分岐点にして、インバウンド観光に関する約 300 本の論文を整理し、地方における住民参加型インバウンド観光研究の動向と課題をまとめ、論文の執筆を行った。論文は本学の紀要に掲載されている。既往研究の整理を通じて、以下の内容を把握できた。まず、インバウンド観光に関する研究は都市部、地方部に関係なく、インバウンド観光の意義を検討する研究、訪日客の増加を図る「インバウンド観光マーケティング分野」の研究、持続的な受入を目指す「受入組織づくり」に関する研究、オーバーツーリズムの解決を狙う「持続可能な観光地づくり」に関する研究が主流となっている。次に、観光資源、交通の利便性、知名度、社会的インフラ整備などの落差により、都市部及び定番観光地と定番観光地以外の地方部の課題が分かれている。前者の場合は、「如何に訪日客の継続的な増加を図れるか」と「訪日客の増加と地域住民の生活とのバランス調整(オーバーツーリズムの解決)」が課題となり、後者においては、「インバウンド観光の推進(訪日客の誘致と対応)による地域振興」と「オーバーツーリズムの発生を予防しながら、地域資源(自然資源、文化的資源、人的資源など)の活用最大化による持続可能な観光地づくり」が課題となっている。これは後者の地方部における住民意識を反映するインバウンド観光の推進に関する研究が不十分であると考えられる。更に感染症によるパンデミックの影響で、日本国内においても、差別・偏見の防止に向けた緊急対策を講じながら、今後のインバウンド観光の早期復活を目指して、地域住民の異文化受容意識の向上をインバウンド観光の施策方針として取り入れる必要があると考えられる。その他、2022年度のアンケート調査の実施に向けて、調査地行政との調整やアンケート調査票の作成等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による影響を受け、ワークショップなどの対面的な研究活動を控え、当初の研究スケジュールを後回しにせざるを得ないため、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナによる影響がまだ続けているが、全国各地において行動制限なしで、観光活動が戻り続けている。観光地住民は再開した観光客誘致活動について、コロナ収束後の観光まちづくりに対する意識が形成されていると考える。また、国土交通省は外国人観光客の入国再開に向けた実証ツアーが開始すると発表した。そのため、今年度は感染防止対策を取りながら、各対象地域における調査活動を決行する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる影響が続き、現地調査やワークショップ、また研究成果の国内外における発表報告などの研究活動が実施できなかったため、人件費や交通費等の支出は発生しなかった。新型コロナウイルスによるパンデミックの経験を経て、本研究の意義が高まり、研究を遂行したい。2022年度に感染防止対策を取りながら、予定した調査地域においてアンケート調査を実施し、その調査結果を論文化し、学会等で発表することを目指している。これらの研究活動の実施に助成金の使用を予定している。
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