2020 Fiscal Year Research-status Report
The Effectiveness of Community-based Tourism as a Form of Sustainable Tourism
Project/Area Number |
20K20084
|
Research Institution | Nara Prefectual University |
Principal Investigator |
らなしんは にるまら 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (90849663)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 持続可能性 / コミュニティー・ベイスト・ツーリズム / 持続可能な観光 / スリランカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コミュニティー・ベイスト・ツーリズム(Community-based Tourism、以下CBT)の取り組みは実際にどのような側面・観点から持続可能な観光の一形態としての有効性を持ち、またどの程度において持続可能な観光に貢献しているのかを明らかにすることである。この点について、令和2年度に集中して把握する予定だったことが主に二つある;1.スリランカにおけるCBTを含む持続可能な観光に関する施策・政府計画などの実施状況を把握すること、2.調査予定地域であるスリランカとタイにおけるCBTの実態と奈良県十津川村の調査。 令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大状況により予定していた海外調査は不可能となったが、文献研究、オンラインディスカッションによる情報収集、オンラインで開催された学会・シンポジウム・セミナーに参加することや日本国内・十津川村の現地調査などを通して本研究課題に関する知識を深めた。特に、課題1に関して、スリランカの政府機関によるCBTの取り組みやプロジェクトと、学問社会におけるCBTへの貢献について文献研究で把握することができた。その結果、行政機関としての取り組みも不足しているし、CBTに関する研究からみてもクリティカル議論が欠けているところが多くあることが分かった。 最終的に、今までの研究成果を奈良県立大学研究季報に投稿し、奄美大島・持続可能な観光連続セミナーⅢ と、開発途上国におけるホームステイを中核とした観光開発に関する国際比較研究研究会において報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の初年度である令和2年度には、主に1.スリランカにおけるCBTを含む持続可能な観光に関する施策・政府計画などの実施状況を把握することと、2.スリランカとタイにおける調査予定地域のCBTの実態を把握すること・奈良県十津川村で調査を行うことが予定されていた。ただし、新型コロナウイルス感染拡大状況によって海外渡航はほぼ制限されたので、海外調査は実施できなくなった。そのため、本研究の主な調査地であるスリランカにおける全般的な観光の現状および、CBTを含む持続可能な観光に関する施策・政府計画やその実施状況などについて、政府観光機関へのインタビューなどもできなくなったし、スリランカの中部、南部、北部におけるCBT事例について調査することも不可能となった。また、CBTの成功事例として考察されているタイ北部の「Mae Kampong村」での現地調査も予定していたが、それについても予定通り知識を深めることはできなかった。 一方、海外渡航はできない時点では、どのように研究課題に関する内容を深めていくかを考えた結果、国内において文献研究、可能な範囲で国内現地調査、Zoomを活かしたオンラインディスカッションや予備調査で収集してある情報・データのまとめなどが可能であることが分かった。そのため、今年度の研究計画からみると遅れてはいるが、ある程度の成果をみせて進展できたところもあると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度に不可能となった課題も含めて研究を進めていく予定である。 主な調査対象地であるスリランカでは、夏期休暇と春期休暇に現地調査を実施しようと考えているが、現時点(令和3年5月上旬)では再び新型コロナウイルスの感染拡大がみられるので、渡航はできてもそれぞれの地域において現地調査を行う上で多様な課題が表れてくる可能性もある。例えば、観光客も含めて地域外の人を地域に受け入れない・受け入れたくないこと、地域住民との交流・インタビューや参与観察なども含むような滞在ができなくなることや地域住民が中心となって行われているホームステイのような宿泊施設を利用できないことなどの課題があると思われる。 タイにおける調査の場合、年末休暇あるいは春期休暇を考えているが、入国制限やタイ国内における新型コロナウイルス感染拡大状況によって予定の変更が出てくる恐れがある。特に、現地調査を予定している北部のMae Kampong村は地方の村なので、外国人の受け入れについて制限や抵抗がある可能性は高い。そのため、現地訪問はできなかった場合、タイの学者とのオンラインディスカッションを通して情報収集することを試みる。 また、今まで調査してきた十津川村および日本の持続可能な観光に関するその他の先進事例について知識を深める予定である。コロナ禍による観光へのインパクトも今後の観光研究において無視できないので、特に地域住民が直接関わるCBTのような観光形態においてコロナ禍の影響はどうなのかなども含めて、今後の調査を進めていこうと考えている。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、本研究課題の初年度である令和2年度には、新型コロナウイルス感染拡大状況によって海外渡航はほぼ制限され、予定されていた海外調査は全て(主にスリランカとタイ)実施できなくなったことである。その代わりに、日本国内で可能な範囲で研究を進めてきたが、特に、海外調査に関して遅れた部分もある。 令和3年度分として請求した助成金のうち、図書の購入には6万円程度予定されている。ただし、英文の図書を購入するとき一冊多額な料金になる可能性もあることが分かったので、当該残額を図書の購入に使用する予定である。
|