2023 Fiscal Year Research-status Report
ダークツーリズムから公共ツーリズムへ:中国における自然災害遺産の保存と活用
Project/Area Number |
20K20089
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Research Institution | Tama University |
Principal Investigator |
田中 孝枝 多摩大学, グローバルスタディーズ学部, 准教授 (50751319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ディザスターツーリズム / 東日本大震災 / 復興 / 災害 / 福島 / 中国 / 不確実性 / 公共 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下3つの観点から関連情報の収集、文献研究、現地フィールドワーク、オンライン調査を進めた。 ①東日本大震災後のディザスターツーリズムの展開と海外への発信:特に原子力災害事故の避難指示区域となった福島12市町村に焦点を当て、関係人口・交流人口促進のための取り組みについて、関連情報の収集、文献研究、フィールドワーク、関係者へのインタビューを行なった。調査結果の一部は「ツーリストへの期待:震災後10余年の福島から」としてまとめ、口頭発表を行った(2023年12月「ツーリストへの期待:震災後10余年の福島から」仙人の会ミニシンポジウム「アジアのカオス」、於・法政大学市谷キャンパス)。 ②中国・台湾における日本のディザスターツーリズム:中国・台湾における関連ツーリズムの展開、保存や観光開発・展示プロセスにおける日本、中国、台湾の関わりについて関連情報の収集、文献研究、フィールドワーク、関係者へのインタビューを行った。また、感染症対策の緩和によって再開された観光動向を把握するため、中国における観光産業、および日本のインバウンド観光の展開について幅広く情報収集を行なった。その中で、中国を対象とした観光人類学のこれまでの展開と今後の可能性について先行研究を整理し、重要な論点の一つとして災害後の観光を挙げた(「第11章 観光:ホスト/ゲストからツーリズム・モビリティへ」『中国民族誌学』河合洋尚・奈良雅史・韓敏(編)、pp.239-252、風響社)。 ③日本におけるディザスターツーリズムのオンラインでの展開:コロナ禍で調査したオンラインの災害関連ツーリズム/プログラムの展開を継続調査し、オンライン/オフラインにまたがる災害に関わる公共ツーリズムの広がりを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行により当初の研究計画を見直し、オンラインでの新たな調査手法も取り入れながら研究を進めている。そのため、研究テーマの絞り込みやそれに合わせた文献研究・必要な現地調査の遂行においてやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は当研究課題の最終年度にあたるため、これまでの調査を継続しながら、成果の発表に向けて調査結果をまとめていく。 前項で述べたとおり、研究テーマの絞り込みやそれに合わせた文献研究・必要な現地調査の遂行においてやや遅れが生じているため、引き続き大きく以下2つの観点から文献研究、現地フィールドワーク、オンライン調査を進める。 ①東日本大震災後のディザスターツーリズムの展開と海外への発信:特に原子力災害事故の避難指示区域となった福島12市町村に焦点を当て、関係人口・交流人口促進のための取り組みについて、関連情報の収集、文献研究、フィールドワーク、関係者へのインタビューを進める。 ②中国・台湾における日本のディザスターツーリズム:中国・台湾における関連ツーリズムの展開、保存や観光開発・展示プロセスにおける日本、中国、台湾の関わりについて関連情報の収集、文献研究、フィールドワーク、関係者へのインタビューを進める。合わせて、中国における観光産業、および日本のインバウンド観光の展開について継続して情報収集を行なう。 以上の調査を踏まえて、東日本大震災後の福島、特に避難指示区域となった12市町村における関係人口・交流人口促進の取り組みに焦点を当てて、オンライン/オフラインにまたがって展開する災害後のツーリズムとその変遷を、当初の研究課題であった「ダークツーリズムから公共ツーリズムへ」という観点から検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により国内外での調査実施が制約を受けた期間があったため。次年度が最終年度であるが、これまでの調査状況に遅れが生じているため、国内外での調査旅費、必要な物品購入費として使用する予定である。
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