2021 Fiscal Year Research-status Report
複合差別を克服するための支援者の学習―カナダの先住民女性のコミュニティの事例
Project/Area Number |
20K20093
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
矢内 琴江 長崎大学, ダイバーシティ推進センター, 准教授 (60732667)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複合差別 / 先住民 / 女性 / カナダ / 組織学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マイノリティ女性を支援する現場でより効果的な支援を提供するための実践知の習得のための理論的枠組みを提供するために、カナダ・ケベック州における先住民女性の支援コミュニティの実践分析を行い、マイノリティ女性たちが経験している複合差別を克服する実践における支援者自身の学びのプロセスとその構造を明らかにすることである。 本研究は4年間の計画であり、2020年から2022年にかけては、フランス語圏の複合差別視点と組織学習論の研究動向を調査することとしていた。そこで、上述の先住民女性の支援コミュニティの取組を、女性たちの地位向上をめざす運動全体のなかで位置づけなおすために、ミシュリンヌ・デュモン『カミーユに語るケベックのフェミニズム』(Micheline Dumont, Le feminisme quebecois raconte a Camille, les editions du remue-menage, 2008)の翻訳を行った。現在、その成果発表のために書籍化に向けて準備中である。 また、研究計画では、現地での調査を実施する予定であったが、コロナ禍の影響により海外渡航による調査ができなかった。そのため、現地の新聞・メディアから、コロナ禍における先住民女性の状況を把握した。 また、カナダだけではなく国内の事例についてもレビューすることとし、社会教育関係職員(男女共同参画事業などの担当職員)の実践事例などをレビューした。2022年度はこのレビューをふまえて、ラウンドテーブル(実践事例の協働的省察研究)を実施するために準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により海外調査が実施できなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は以下の計画を予定している。 ミシュリンヌ・デュモン『カミーユに語るケベックのフェミニズム』(Micheline Dumont, Le feminisme quebecois raconte a Camille, les editions du remue-menage, 2008)の翻訳の書籍化にむけて準備する。 フランス語圏における複合差別、インターセクショナリティの概念を検討し学会発表を行う。 複合差別を克服する実践のあり方を検討するためのラウンドテーブルの実施し、実践事例を記録し分析する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外調査が行えず、本来旅費等に使用する予定だったが使用できなかった。2022年度は、翻訳成果を発表するための印刷費、ラウンドテーブルを実施するための謝金、人件費に使用する計画である。
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