2023 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of care-centered gender-aware macromodelling and policy evaluation in Japan
Project/Area Number |
20K20098
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 由美子 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (10830185)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ケアエコノミー / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、介護・看護・子育て領域における経済活動(ケアエコノミー)を明示的に扱うことができるマクロモデルを日本で初めて構築し、ジェンダーの視点で分析することであった。官民が提供する看護・保育サービスなどは国内総生産(GDP)に算入されるが、主に家庭で行われている介護や看護、育児等はアンペイド(無償)のケアであるため経済活動として認識されず、マクロ経済指標に反映されていない。しかし、主に女性が担っているアンペイドワークの貨幣評価推計額はGDP比率の20%前後と極めて高い。
本研究では、「労働力調査」「社会生活基本調査」の匿名データ、その他統計や各種報告書、他国の先行研究などの文献をもとに、ケアとジェンダーに考慮した社会会計マトリックス(SAM-Social Accounting Matrix)を構築し、アンペイドワークの貨幣評価額を産業連関表に組み込むことで、市場経済の枠を超えて包括的にマクロ経済を理解しようと試みた。性別等を用いて分析することで、産業別活動への貢献と無償・有償労働への貢献を、貨幣評価額だけでなく労働時間でも男女比較することができた。さらにそのSAMをもとに動学マクロモデル―Dynamic CGE (Computable General Equilibrium)モデルの構築を試みた。
コロナ禍もあって、予定したように活動は進まなかったが、2021年にはケアのマクロモデリングの国際ワークショップに日本で唯一招待を受け(オンライン)参加し、国内学会でもオンラインで発表、2022年、2023年にはそれぞれオンラインと現地参加で国際学会に出席し、それまでの研究の成果を発表する機会を得た。本研究では 政府統計データを中心に扱うが、有償ケア労働者の実状について、放課後児童クラブ支援員の労働環境に注目し、岡山市内で放課後児童クラブ支援員にインタビューするなどして、実状の調査も行った。
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