2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on method of product design with "imagination margin"
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20K20120
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
影山 友章 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 講師 (90856486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デザイン実践 / 美濃焼アクセサリー / 尾張仏具 / 在宅ワークプロダクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、“製品やサービスを使用する過程でユーザーが介入できる余地”を「余白」と捉え、それらの余白を製品デザインに組み込むことで、利便性の追求とは異なる価値である「不便益」を生み出すことを目指している。一昨年度の研究では、「余白」をデザイン実践の際に活用しやすくするために、「行動的余白」「時間的余白」「思考的余白」の3つに分類した。また、ユーザーの属性や状況に応じて変化する、“許容可能な余白の大きさ”を「余白の許容量」と定義し、製品側の「余白の大きさ」とユーザー側の「余白の許容量」が合致することが、不便益を生み出すことにつながるという、理論の大枠を築くことができた。昨年度の研究ではそれらの理論をベースに、「余白」を活用したデザインの実践活動を行なった。 一つ目の成果は、株式会社アメイズプラス、七窯社との連携による美濃焼のアクセサリー、「ironna」である。このアクセサリーは美濃焼の中心地、多治見市の市花である「桔梗」をモチーフにした花型のピアスである。硬度の高い純白の釉薬でコーティングされているため、ユーザーはその日の気分やファッションに合わせて、自身のマニキュアでピアスを着彩することができる。また、除光液でマニキュアを落としやすいよう形状が工夫されているため、ピアスの色や柄を毎日変えることが可能となる。このデザイン提案は、「行動的余白」を設計するという観点から生み出された提案である。なお、「ironna」は2022年秋の発売を目指して現在開発が進められている。そのほかにも、尾張仏具技術保存会との連携による、空に帰った故人を想う仏壇「kuu」。にじり口を潜る手間によって、在宅ワーク時のON/OFFを切り替えるパーテーション「茶室パーテーション」など、余白を備えたデザイン提案を複数生み出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「行動的余白」を備えた美濃焼アクセサリーのデザイン開発や、「思考的余白」備えた尾張仏具のデザイン開発など、余白の概念を活用したデザインの実践は概ね順調に進んでいる。また、不便益研究の母体である計測自動制御学会の学会誌「計測と制御」の特集号、「ユーザーに不便の効用を与えるシステム」で、一昨年度の研究成果が掲載されるなど、論文化も順調に進んでいる。 一方、新型コロナウィルスの感染拡大は長期化の動きを見せており、当初計画していた海外での情報収集や、展示会での発表は実現に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、デザイン開発が進んでいる余白を備えた提案を製品化し、社会実装することを目標とする。また、余白による効果を検証することも同時に進めていく。「行動的余白」を備えた美濃焼のアクセサリー「ironna」は、ユーザーの“器用さ”や“時間的余裕”(余白の許容量)によって、自ら着彩することを「楽しみ」と捉えるか「めんどくさい」と捉えるかが変わってくると予想される。実証実験では、使用感の調査時にユーザーの属性や使用状況を同時に調べることで、製品側が備える「余白の大きさ」とユーザー側の「余白の許容量」が適合したときに「不便益」が現れるという仮説を、実証することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、昨年度、一昨年度に予定していた海外での情報収集が叶わなかったことが最大の要因である。幸い、デザイン開発は順調に進んでいるので、差額分をデザイン開発のサンプル作成代などに補填する計画である。
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