2020 Fiscal Year Research-status Report
Research and development of Open Citation in Japanese scholarly publications and its leverage in information infrastructure for humanities
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20K20132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西岡 千文 京都大学, 附属図書館, 助教 (20801187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学術情報流通 / 引用データ / オープンデータ / 機関リポジトリ / オープンサイエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
引用データを再利用性が高い形式で公開するオープン・サイテーションが欧米諸国を中心に広まっている。本研究は、学術論文が引用する学術資料の分析と引用データ抽出手法の開発を通じて、人文社会学系のあらゆる学術資料のオープン・サイテーションを促進する枠組みを構築することを目指している。 【1. オープン・サイテーションに関する調査】本年度ははじめに、オープン・サイテーションに関する調査として、識別子の付与状況とオープンアクセス状況についての調査を実施した。 【1-A. 識別子の付与状況についての調査】オープン・サイテーションの枠組みでは識別子が大きな役割を果たしていることから、識別子の付与状況について調査を実施した。調査では、最も確立された識別子であるデジタルオブジェクト識別子(DOI)に注目した。日本の機関リポジトリで公開されているレコードを対象として調査を実施したところ、全レコードのうち13.49%にDOIが付与されていることが判明した。 【1-B. オープンアクセス状況についての調査】学術資料から参考文献を抽出してオープン・サイテーションを実現するには、学術資料がオープン・アクセスであることが必要となる。日本の論文を対象とした調査では、41.83%がオープンアクセスであることが判明した。 【2. 人文社会学系の紀要2誌のオープン・サイテーションのデータ作成】機関リポジトリで公開している人文社会学系の紀要2誌のオープン・サイテーションに取り組んだ。機械学習といった自動的な手法を適用することが難しいため、オープン・サイテーションの仕様書を作成し、紀要論文の参考文献のオープン・サイテーションのための作業を人手によって進めた。作業の過程では、 参考文献として多種多様な資料が存在すること、参考文献は文末だけではなく脚注や本文の表にも挙げられていることなどが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、オープン・サイテーションを進めるために必要となる、オープンアクセスならびに識別子についての調査を実施した。調査では、今後オープン・サイテーションを推進していく上での課題が明らかとなった。 機関リポジトリで公開されている紀要2誌についてオープン・サイテーションを進めた。このデータを利用することで、機関リポジトリにおけるオープン・サイテーションの効果について検証することが可能となると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作成した紀要2誌のオープン・サイテーションのデータを、WikidataやOpenCitations.netといったオープン・サイテーションのデータ公開に使用されているプラットフォームで公開を進める。また、紀要2誌が公開されている機関リポジトリ(京都大学学術情報リポジトリ:KURENAI)で作成したオープン・サイテーションのデータを利用することで、紀要論文の検証可能性の向上に寄与することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、調査や学会発表のための旅費が不要となり、残額が生じた。発生した残額は、オープン・サイテーションのデータ作成のために利用することを計画している。
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Research Products
(6 results)