2022 Fiscal Year Research-status Report
Research and development of Open Citation in Japanese scholarly publications and its leverage in information infrastructure for humanities
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20K20132
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
西岡 千文 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 助教 (20801187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 引用データ / オープンデータ / オープンサイエンス / 機関リポジトリ / 学術情報流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
論文等の研究リソース間の引用・被引用関係を表す引用データを、再利用性が高い形式で公開するオープン・サイテーションが欧米諸国を中心に広まっている。本研究は、論文などの文献が引用する学術資料の分析と引用データの抽出手法の開発を通じて、人文社会学系のあらゆる学術資料のオープン・サイテーションを促進する。 【1. インド仏教学分野の論文誌の引用分析】インド仏教学分野の論文誌で作成された引用データをもとに、人文学分野の引用について分析を行った。分析の結果、当該分野では論文に比べ図書の引用が多く、引用論文の発刊時期が長期であることが特徴として明らかとなった。デジタル化されていない資料についても識別子等で判別できる枠組みが必要である。また、当該分野では一次資料の引用も多いことから、オープン・サイテーションの実現には専門性をもつ者の協力が必要不可欠であることが明らかとなった。 【2. 引用データの表示・流通】昨年度に引き続き、京都大学の機関リポジトリの各紀要論文のページで、紀要論文が引用する文献とそのリンクを、作成した引用データに基づいて表示した。また、作成した引用データを紀要論文のメタデータに登録した。メタデータは「学術機関リポジトリデータベース(IRDB)」などからハーベストされることから、引用データの流通が期待できる。 【3. 表示された引用データが学術情報流通へ与える影響】機関リポジトリ上で表示される引用する文献へのリンクのクリック回数を計測できるようにした。2022年の1年間で合計1,000件程度のクリックが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機関リポジトリでのクリック回数等を観察できる環境を整えて、機関リポジトリにおけるオープン・サイテーションの効果について検証できるようにした。また、人文学系の引用データの分析を行うことで課題を明らかにし、今後の方向性についての道筋を立てた。
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Strategy for Future Research Activity |
機関リポジトリで表示されている引用文献へのリンクのクリック回数等を継続的に観察することによって、オープン・サイテーションの取り組みが機関リポジトリへ与える効果を明らかにする。 人文学系分野におけるオープン・サイテーション実現のための課題を明らかにし、必要となるスキルの整理を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、調査や学会発表のための旅費が不要となり、残額が生じた。発生した残額は、COVID-19の状況がよくなっていれば、学会発表のための旅費、よくなっていなければ、オープン・サイテーションのデータ作成のために利用することを計画している。
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Research Products
(3 results)