2023 Fiscal Year Research-status Report
The Formative Process of Various Information Societies: Focus on the Popularization of Video Games in Bhutan
Project/Area Number |
20K20134
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
藤原 整 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (60755750)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ブータン / 情報社会 / ビデオゲーム / モバイルゲーム / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブータンにおけるビデオゲームの普及に焦点を当て、ブータンという血縁・地縁が強く社縁的な繋がりが乏しい地域において、ビデオゲームという情報通信技術の発展により生まれた遊びを通じて、どのようなネットワーク社会が生成され得るのか、その過程を明らかにしていくことを目的としている。 本研究の開始後、2022年度の半ばまでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国際的流行により海外渡航を伴う現地調査は不可能であったため、現地協力者の助力の下、質問紙とオンラインビデオ会議システムを利用した半構造化インタビューを実施してきた。 2023年度は、2023年9月に現地調査を実施し、ブータン王立大学シェラブツェ・カレッジ、ジグメナムゲル工科カレッジの2校の協力を得て、ブータン人学生を対象とする非構造化インタビューを実施した。これは、主にモバイルゲームを頻繁にプレイするコアゲーマー学生が、どのようにビデオゲーム(モバイルゲーム)のプレイ経験を蓄積してきたか、また、その過程においてブータン社会においては、どのようにビデオゲーム(モバイルゲーム)が受容されてきたか、を問うたものである。 なお、上記現地調査と並行して、近年進展の著しいゲーム研究(Game Studies)に関する最先端の調査・研究の文献調査を行なっている。特に、日本はそのビデオゲーム市場の規模に対して、学術的なアウトプットが少ない傾向にあったが、ここ1、2年のあいだに、日本やアジアという地域の文化的特性とビデオゲームプレイヤーの性向に関連した研究も蓄積されてきており、それらの知見を本研究にも援用する狙いがある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄においても述べた通り、本研究は開始直後から丸2年半の間、現地調査が叶わず、非常に限定的な情報収集のみに留まった。現地調査再開後は、現地協力機関の支援を受けながら順調にデータ収集を行うことができているものの、収集したデータの分析、調査結果に基づく論文の執筆や研究発表までは至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度以来、遠隔での現地調査を試みてきたが、特にZoom等のビデオ会議機能を用いたインタビュー調査では、調査対象者との日常的な会話のなかから真に重要な調査データを引き出すような、現地調査特有の雰囲気をつくり出すことは難しく、新型コロナウイルス感染症の終息を待たざるを得なかった。 2023年度までに、当初計画では4回(予備調査1回、本調査3回)予定していた現地調査のうち2回の調査を実施することができた。ただ、円安進行や世界的な燃料費の高騰等により、当初予定していた回数の渡航は実現不可能となった。 2024年度は、研究期間を1年間延長し、過去2年間に収集することができたデータ、および、並行して実施してきた文献調査結果に基づいて、そのアウトプットとなる論文執筆、ならびに、研究発表に注力していきたいと考えている。 ブータン人ゲームプレイヤーの「ゲームをプレイするきっかけ」「プレイ体験の価値」「他のプレイヤーとの出会い」「プレイヤー間の対話」「プレイヤーコミュニティへの参加」「プレイヤーを取り巻く環境」といった語り中心に、ブータンにおけるゲームプレイ環境とその形成過程と照らし合わせて、ビデオゲームのプレイヤーコミュニティがどのように形成され、そして、当該ゲームに対する批評や言説がどのように変遷していったのか、そのダイナミズムを明らかにしていく。
|
Causes of Carryover |
ここまで述べてきた通り、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて、現地調査をこれまで2回しか実施することができておらず、旅費として見積もっていた金額に残額が生じしている。 2024年度は、研究成果のアウトプットに注力することとし、論文の英文校正に係る費用、研究発表のための旅費等に残額を充当する予定である。
|