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2023 Fiscal Year Research-status Report

概念の階層構造を生成する再帰的結合能力の起源と進化に関する研究

Research Project

Project/Area Number 20K20146
Research InstitutionTeikyo University

Principal Investigator

外谷 弦太  帝京大学, 先端総合研究機構, 研究員 (70847772)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords言語進化 / 再帰的結合 / ニッチ構築 / 物体操作 / 模倣
Outline of Annual Research Achievements

ヒトは他の動物に見られない、概念を再帰的に結合し階層構造を生成する能力(以下、再帰的結合能力)を持つ。概念の階層構造はヒトの思考やコミュニケーションに特異的かつ普遍的に見られるため、この再帰的結合能力の進化を問うことでヒトという生物種の本性に迫ることができる。その仮説として有力視されているのが、物体操作という他の動物と共通する能力に起源をもつとする「運動制御起源説」である。本仮説を検証するには、外的な物体操作と内的な概念操作を繋ぐ具体的な進化シナリオを提示する必要がある。
本研究は、(1)計算機シミュレーションによる、外的物体操作と内的概念操作の転移と進化のモデル構築と、(2)動物や人の物体操作・道具製作の分析に基づくモデルの妥当性検討という、2種類のプロセスから構成される。(1)に関してこれまでに、道具の組み合わせ空間の広さと道具製作にかけられる時間の長さが、再帰的結合を進化させやすくすることがわかっている。本年度は、強化学習によって学ばれた空間探索の知識を動的計画法に類似するプランニングに転用するモデルを考案し、内的な概念操作を行えるエージェントとして実装した。また、そのような概念の組み合わせ知識が累積される文化進化モデルへの発展を見据えて、再帰的結合のシミュレーションとは別個に、文化形質が個体の社会的評価に依存して模倣される文化進化シミュレーションを共同研究し学会や論文誌で発表した。(2)動物や人の物体操作・道具製作の分析に関しては、昨年まで勧めていた運動追跡に加えて、VRを用いた道具組み合わせ課題を設計中である。仮想空間であれば、実際に道具の材料を揃えなくとも物理環境における運動疲労や記憶負荷を扱うことができ、加えて怪我の恐れも少ないと考えたためである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

進化シミュレーションと強化学習アルゴリズムを用いた物体操作モデルの研究に関してはモデル構築・分析ともに概ね順調に進んでいる。ただし、コロナ禍の影響や共同研究者の長期休業などにより、シミュレーション結果の解釈やモデルの妥当性についての綿密な議論は次年度に持ち越された。延長された研究期間の中で、論文投稿やヒトを対象とした実験の実装・実施を行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

(1)については、プランニングを伴う道具製作の計算モデルに関しては論文を執筆中である。加えて、今年度進めることができた文化形質の模倣に関するシミュレーションを活用し、道具やその製作方法に関する文化進化シミュレーションを構築しようと考えている。これにより物体操作から言語進化にいたるまでの全体的なシナリオを構築する。(2)については、仮想空間内での離散的操作を対象として分析する方向で実験設計中である。

Causes of Carryover

今年度投稿予定であった論文が遅れたため、英文校正費および論文投稿料を次年度に繰り越した。繰り越した当該助成金は次年度に上記目的に際して使用予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Formalising prestige bias: Differences between models with first-order and second-order cues2024

    • Author(s)
      Nakata Seiya、Masumi Akira、Toya Genta
    • Journal Title

      Evolutionary Human Sciences

      Volume: 6 Pages: e21

    • DOI

      10.1017/ehs.2024.12

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 名声バイアスの計算論モデリング:手がかりの違いが文化進化に与える効果の検討2023

    • Author(s)
      中田星矢・真隅暁・外谷弦太
    • Organizer
      日本社会心理学会第62回大会
  • [Presentation] 名声分布の違いが文化進化の速度に与える効果:シミュレーションによる検討2023

    • Author(s)
      中田星矢・外谷弦太
    • Organizer
      日本人間行動進化学会第16回大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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