2021 Fiscal Year Research-status Report
Neural basis of individual differences in visual localization
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20K20151
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 祐基 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(SPD) (60847309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚 / 知覚心理学 / 脳機能計測 / MRI / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、視覚情報処理における位置情報の符号化・表象について明らかにすることを目的としている。本年度は主に、心理物理学手法を用いて、研究1の目的である位置情報処理と物体情報処理の関連性に迫った。 まず心理物理学的逆相関法という手法を用いて、現在注目している物体の知覚的テンプレートが、過去に観察した刺激に依存して変化することを心理物理学的逆相関法を用いて明らかにした(Murai & Whitney, 2021, Current Biology)。さらに追加解析によって、この知覚的テンプレートの系列依存性が、過去に観察した刺激の呈示位置近傍に限局していることを明らかにした。またこの系列依存性と呼ばれる現象は、各個人内で極めて一貫した特性を持つ個人差の大きい現象であり、かつ視野上の異なる場所で異なる効果量を示すことがわかった(Kondo, Murai, & Whitney ,2022, Journal of Vision)。この研究は、個々の観察者において各視野位置に特有かつ安定した空間表現があり、それをもとにした知覚的安定化の方略が取られていることを示唆している。 また神経基盤に関する研究2について、周辺視野に呈示したごく小さなターゲットの方位をMEG信号からデコード可能であることとともに、系列依存的な脳活動、つまり前試行の刺激方位も現試行の脳活動からデコードできることを示した(Allen, Murai, et al., VSS 2021)。物体の系列依存性が空間チューニングを持っている、つまり直前の呈示位置付近で強く起きることを考えれば、この手法によって位置情報処理と物体情報処理の交互作用についてその脳内処理に迫ることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心理物理実験については国際誌原著論文の出版など順調に業績を重ねており、新型コロナ感染症で対人実験が制限される中、オンライン実験も活用しデータ取得が進んでいる。MRI実験についてもデータ取得・解析が進んでおり、研究計画全体として概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はMRIのデータ取得・解析を進めるほか、心理物理論文の執筆に注力する。特にMRI研究については、当初機能的個人差はレチノトピー(網膜再現部位)の個人差によって、解剖学的個人差は視覚皮質の厚みや面積といったVoxel-based morphometryによって評価する予定であったが、解剖学的個人差についてはより精密な解析・評価手法を導入するとともに、こうした脳と行動の個人差が知覚学習等によって中長期的に変化するのか視野に入れながら研究を推進する。
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Causes of Carryover |
二年度目はほぼ当初計画通りの予算執行を行ったが、初年度に新型コロナ感染症の拡大により共同利用設備であるMRI装置へのアクセスが大幅に制限され、当初予定していたMRI利用料を計上しなかったため、研究計画を一年延長し、初年度に次年度に繰り越したのとほぼ同額を最終年度に繰り越している。
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