2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20155
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中井 康雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10584790)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 皮質脳波 / 計算処理 / 周波数解析 / 高ガンマ律動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、頭蓋内電極によって測定される皮質脳波を用いた計算機能に関する機能局在に関する研究である。覚醒下手術を施行した神経膠腫および慢性頭蓋内電極留置を留置した難治性てんかんの外科症例において、計算課題時の優位半球における皮質脳波の高ガンマ律動の変化を報告する。症例1;電極は前頭葉外側に広く、前頭葉内側、頭頂葉、側頭葉には部分的に留置した。計算は加算課題でモニターによる視覚的提示と、音声による聴覚的提示をそれぞれ行った。聴覚的提示では一つ目の数字を聞き始めた直後より中心前回で活性化を認めた。負荷をかけた計算時にはより広い範囲で活性化を認め、中心前回活性後、縁上回の活性化を認めた。二つ目の数字を聞く際には活性化が再増大し、同様に縁上回の活性も認めた。口頭で答える際には顔面に関連する中心前回下部の活性化を認め、数字を聞き始めてから活性化していた中心前回の活性化は減衰した。視覚的提示でも同様に一つ目の数字を聞き始めた直後より中心前回で活性化を認め、その直後より縁上回の活性化を認めた。二つ目の数字を聞いた直後も一つ目の数字の際と同様であった。また、口頭で答える際には、聴覚的提示と同様であった。症例2;電極は前頭葉外側、頭頂葉、側頭葉に留置した。計算課題は、モニターによる視覚的提示を行った。2つ目の数字を見た後に中側頭回後半部に活性化を認めた。口頭で答える際には顔面に関連する中心前回下部の活性化を認め、数字を聞き始めてから活性化していた中心前回の活性化は減衰した。また、口頭で答える際には、顔面に関連する中心前回下部の活性化を認めた。実際に加算する際に優位半球の縁上回や中側頭回の神経活動が活性化していることが示唆された。今年度も覚醒下手術やてんかん外科手術症例で機能温存の目的で頭蓋内脳波を測定する患者において、皮質脳波を測定し、詳細な脳活動のデータを蓄積する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響もあり不要不急の手術が行いにくかった。
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Strategy for Future Research Activity |
覚醒下手術の施設認定を申請しより、患者の安全、機能予後を第一に考えデータの蓄積を継続する。症例数を増やしてデータ解析を行う。
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Causes of Carryover |
書籍、学会参加、ソフトウェア、解析用パソコンなど研究に必要な費用への使用を計画している。
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