2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K20155
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中井 康雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10584790)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 皮質脳波 / 計算処理 / 周波数解析 / 高ガンマ律動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、頭蓋内電極によって測定される皮質脳波を用いた計算機能に関する機能局在に関する研究である。慢性頭蓋内電極留置を留置した難治性焦点てんかん5症例において、計算課題時の優位半球における皮質脳波の高ガンマ律動の変化を報告する。棘波及びアーチファクトを除いた電極を抽出、各電極について、FreeSurfer を使用して解剖学的ラベリングを施行し、言語優位側に留置された272電極を解析対象とした。計算課題は視覚的および聴覚的提示され、加算減算が含まれており、繰り上がりの有無がある。時間周波数分析を実行して、70-110Hz の高ガンマ律動について安静時を基準とした増大と減衰の比率を算出した。聴覚的提示では最初の数字の提示の直後に、上側回および中心前回での活性化、中前頭回と紡錘回の抑制が誘発された。 また、視覚的提示の際には、数字提示後150msをピークに紡錘回や外側後頭葉皮質の活性化を認めた。演算を提示された際にも上側頭回および中心前回での活性化を認めた。2 番目の数字の提示から 400 ミリ秒後をピークに縁上回および角回の領域で高ガンマ活動が増強されたが、繰り上がりや繰り下がりの有無では明らかな相違は指摘されなかった。聴覚的提示の方が視覚的提示よりも、縁上回の高ガンマ活動が増強される傾向があった。最後に口頭で回答を答えた直後には中心前回および中心後回が活性化された。本研究では、上側頭回は一次聴覚野、外側後頭葉や紡錘回は高次視覚野、中心前回は作業記憶および一次運動野、縁上回角回は計算の実行に関連する可能性が示唆された。またそれらの領域が活性化するタイミングも示し計算課題時の詳細な脳活動の傾向を示すことができた。今後は、詳細な変化を検出できるような計算課題のパターンを増やし、さらなる症例を蓄積していくことで、電極の留置が不十分な領域での活動も探求していく予定である。
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