2022 Fiscal Year Annual Research Report
立体的薬物動態システムを利用したがん細胞の薬物耐性変化のモニタリング
Project/Area Number |
20K20171
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮本 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (10845481)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬物動態システム / Organ on a Chip / 癌細胞スフェロイド / 物質拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト肝細胞ならびに腸管上皮細胞を共培養させた薬剤排泄システムを構築するとともに当システムによって代謝された抗癌剤ががん細胞スフェロイドに対する薬剤応答性を評価するため、各システムの構築ならびに癌細胞アッセイの検討を実施した。 まずコラーゲンコートトランスウェルの背面にヒト肝細胞を播種させた後に腸管上皮細胞を上面に播種し培養を行った。両細胞は播種後1-2日程度にてセミコンフル状態を構築した。作製したトランスウェルの組織切片を作製したところ、トランスウェル上に1層程度の細胞層を両面にて確認した。次に大腸がん細胞株であるHT29細胞をスフェロイドプレートに播種し4日間培養を行った。培養4日目のHT29スフェロイド上に肝細胞ならびに腸管上皮細胞を播種したトランスウェル(肝/腸トランスウェル)を覆った群(トランスウェル群)とトランスウェルを覆わなかった群(単独群)に対して抗癌剤の一つであるドキソルビシン(DOX)を添加し細胞形態の比較を行った。添加24時間後においては単独群において赤い色素を有するDOXが癌細胞スフェロイドに沈着しているのに対して、トランスウェル群では肝/腸トランスウェルを介することで色素が代謝された後に癌細胞スフェロイドに作用している確認が確認された。添加5日目においては単独群では中心部から崩壊している携帯を示したのに対してトランスウェル群では癌細胞スフェロイド外周に存在する細胞が崩壊している形態を示した。これらの結果より肝/腸トランスウェルを介することで生体内の薬物動態を再現することが可能となり、抗癌剤作用機序に違いを与えたことが考えられる。
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