2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of soft-domain-directed movement of cells induced by micro-topography of substrate surfaces
Project/Area Number |
20K20183
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 沙織 九州大学, 工学研究院, 助教 (20772320)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞遊走 / 表面微小凹凸構造 / ハイドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞遊走は、恒常性の維持、様々な生理機能の発現,組織・器官の発生において基礎をなす機能である。細胞は基材の弾性率の違いを感知し、接着した基材表面に弾性率勾配がある場合、硬い領域に遊走することが知られている。それに対し軟らかい領域に凹凸構造が存在する場合において細胞が軟らかい領域に遊走することが観察された。この指向性運動は従来のように焦点接着斑の牽引力差によって説明することができない。しかし、これが凹凸構造によるものなのかは明らかになっていない。本研究は弾性率と微細凹凸構造の独立制御を可能とする細胞培養ハイドロゲルを開発し、表面微細凹凸構造への細胞遊走挙動メカニズムを明らかにしうるものである。 本年度はゼラチンゲルへの表面追加架橋によってゲル表面に微細凹凸構造を導入した。化学架橋ゼラチンゲルに対して表面に架橋剤を更に添加することによって、表面バルク間で弾性率勾配が発生し膨潤時に表面が座屈する。本年度はバルクの架橋剤濃度および追加の架橋剤濃度に応答して微細凹凸構造が変化することを確認し、そのゲル化条件を最適化した。またそれに加え、得られたゲルへの細胞接着性も併せて確認できており、表面微細凹凸構造への細胞遊走挙動を観察するプラットフォームとして期待できる。また、細胞形状が微細凹凸構造に応答していることが示されており、細胞操作材料としての応用も期待される。細胞の遊走について新たなメカニズムが提案されることは、細胞バイオメカニクス領域の発展に貢献できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はゼラチンゲルへの表面追加架橋によってゲル表面に微細凹凸構造を導入した。化学架橋ゼラチンゲルに対し、表面に架橋剤を更に添加することによって弾性率勾配が発生し表面が座屈する。バルクの架橋剤濃度および追加の架橋剤濃度に応答して微細凹凸構造が変化することを確認した。得られたゲルへの細胞接着性も併せて確認できており、また、細胞形状が微細凹凸構造に応答していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたハイドロゲルを用いて、細胞遊走における表面微細凹凸構造応答を観察する。微細凹凸構造指向性運動の有無をタイムラプス撮影で調べるとともに、微細凹凸構造によって誘起される軟領域に対する遊走を観察する。またメカニズム解明のため焦点接着斑面積および入力される牽引力の測定を行う。その後、得られた焦点接着斑と牽引力の定量的評価をもとに、細胞内におけるメカノシグナルの伝達メカニズムを解明するため、蛍光ライブイメージングによって細胞内タンパク質を可視化する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスにより一時期大学への入構ができず実験を中止せざるを得なかった。したがって今年度予定していた実験が行われず、それに必要であった設備・物品の購入を次年度に見送らざるを得なかった。また学会中止・オンライン開催への変更によって予定していた旅費の申請が執行されていない。 次年度は前年度予定していた実験を行うため、必要な設備・物品をここで購入する予定である。
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