2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子界面上クリック反応によるリガンド修飾法の確立と体系的最適化手法の構築
Project/Area Number |
20K20195
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
櫻井 遊 千葉大学, 大学院薬学研究院, 特任助教 (00707234)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 脂質ナノ粒子 / siRNA / mRNA / リガンド |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に蛍光色素を用いた脂質ナノ粒子(LNP)表面結合率の定量系を構築する。また、従来法としてアミド結合によりリガンドと粒子表面で結合させる手法として新たに構築するclick chemistry on interface of nano-particle(CLIP)法と反応効率を比較する。CLIP法と従来法で反応するPEG脂質をそれぞれ添加したLNPを作成し、これらに対して反応しうるアジド基とアミノ基を有する蛍光色素を混合した。CLIP法に用いる基質としてdibenzylcyclooctyen(DBCO)を有するPEG脂質を用いた。0~24時間後に未結合色素を限外濾過で除去し、粒子由来蛍光強度と結合させた蛍光色素の蛍光強度比から表面結合率を測定を行った。CLIP法では従来法と比較して、反応速度がおよそ6倍早く、1時間ほどで反応がプラトーに達していた。また、従来法では蛍光色素が等量では反応効率が悪く(10%程度)、5倍量添加することで約30%の反応効率だった。一方で、CLIP法では等量の蛍光色素でも40%程度まで結合させることができた。また、pH応答性のLNPは弱酸性条件下で正に荷電するために、粒子同士が反発し凝集などの物理化学的な変化を防ぐことができる。さらに内封核酸が負電荷であるために、脂質膜が正に荷電した状態のほうが安定であることが報告されている。しかしながら、従来法のアミド結合形成反応は、アミノ基が脱プロトン化する塩基性条件が必要である。実際にpHを4、7.4、8.0と変化させて反応効率測定すると、pH7.4と8.0においてのみ反応が進行した。一方で、CLIP法ではpH4.0において最も高い反応効率を示した。以上のことから、粒子界面上におけるクリック反応によるリガンド結合を行うCLIP法は、LNPへのリガンド結合法として優れていることを明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書通りに研究が進んでおり、また計画時に期待していた通り従来法と比較して優れた反応特性を持つことを明らかとしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画の通り顕微鏡と実験計画法を用いた網羅的なリガンド結合条件の探索を実施する予定である。
|