2020 Fiscal Year Research-status Report
がん関連アミノ酸トランスポーターを標的とした光増感剤送達システムの開発
Project/Area Number |
20K20196
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野本 貴大 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00734732)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子 / 光線力学療法 / アミノ酸トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がんに選択的に発現するアミノ酸トランスポーターを標的として集積することが可能な薬物送達システムを創成し、その薬物送達システムにより光増感剤を腫瘍に選択的に送達することで低侵襲的かつ効率的な光線力学療法を実現することを目的とした。その目的を達成するために、本年度では標的アミノ酸トランスポーターに認識されると考えられる化学構造を側鎖に有する高分子を、複数候補合成しその細胞内取り込み挙動及びアミノ酸トランスポーター選択性、そして体内動態及び抗腫瘍効果について評価した。 合成方法としては、NCA開環重合により合成される高分子の側鎖に、アミノ酸トランスポーター標的分子を導入するルートを選択した。まず、アミノ酸トランスポーター標的分子として類似化合物2種類(メチオニン, システイン)を用いた。メチオニンを導入した高分子はシステインを導入した高分子と同等の物性を有しながらも、システインを導入した高分子より高いがん細胞内取り込み量を示した。また、メチオニンを導入した高分子については特定のアミノ酸トランスポーター阻害剤によりその取り込み量が低下することが示され、そのアミノ酸トランスポーター選択性が示唆された。 in vivoにおいて腫瘍に選択的に集積するかを調べるために、マウス腫瘍モデルを用いて体内動態を評価したところ、メチオニンを導入した高分子は腫瘍に対して極めて効率的に集積し、正常組織への集積はそれと比較して顕著に低いものであった。これらの結果から、メチオニンを結合した高分子はがん細胞で過剰発現しているアミノ酸トランスポーターを標的とした薬物送達システムとして有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、アミノ酸トランスポーターを標的とした高分子型薬物送達システムのプロトタイプの構築に成功しており、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、現在までに作成した薬物送達システムについて、光増感剤を搭載して光線力学療法の効果を検討する予定である。また、A以外の構造についても継続的に検討を進めており、今後、アミノ酸トランスポーターと高分子の相互作用についてさらに詳細に検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
おおむね当初の計画通り順調に研究を遂行しているが、一部の動物実験についてはCOVID-19の影響で今年度中に実施できなかったものがあり、来年度にその実験を実施する必要があるため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(6 results)