2022 Fiscal Year Annual Research Report
ビフィズス菌の糖代謝機構を利用した機能性細胞外小胞の創製とがん免疫療法への応用
Project/Area Number |
20K20205
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森下 将輝 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10811747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロバイオティクス / 細胞外小胞 / アジド―アルキン反応 / 代謝機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
有用微生物であるプロバイオティクスが分泌する細胞外小胞を利用した新たな疾患治療法の開発が期待されている。その実現には細胞外小胞の高機能化を図る必要があるものの、従来の方法では機能改変後に細胞外小胞の生理活性が損なわれる懸念があった。本研究ではプロバイオティクス由来細胞外小胞の活性保持と機能付与を両立できる技術の開発を目指す。 当該年度は、昨年度までで確立した糖を用いた細胞外小胞へのアジド基導入法に加えて、アミノ酸を用いたアジド基導入法にも着手し、上記目標を達成するための細胞外小胞への分子搭載の開発を目指した。その結果、アミノ酸の代謝機構を利用したアジド基導入法では従来の糖の代謝機構を利用した方法よりもその導入効率が上昇した。また、細胞外小胞の重要な機能である免疫細胞賦活作用も維持されることを確認した。さらに、細胞外小胞の粒子径やゼータ電位といった物理化学的性質も変化しないことを確認した。そこで、アジド基導入した細胞外小胞に対してアルキン修飾した蛍光分子を添加することで細胞外小胞の蛍光標識化を行った後、免疫細胞に取り込ませた際の挙動(細胞内動態)を観察した。その結果、細胞外小胞は免疫細胞内のエンドソーム画分に局在していることが明らかとなった。以上より、プロバイオティクスの代謝機構とアジド―アルキン反応を介して作製した蛍光標識細胞外小胞を用いることで、免疫細胞添加後の細胞内動態の可視化に成功した。 研究期間全体を通じて、プロバイオティクスが持つ糖やアミノ酸といった栄養素の代謝機構と、部位特異的な反応様式であるアジド―アルキン反応を巧みに利用することにより、プロバイオティクス由来細胞外小胞の活性保持と機能付与を両立可能な技術の開発に成功した。
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