2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of immuno-suppressive scaffold for regenerative medicine
Project/Area Number |
20K20207
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
西口 昭広 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (10784944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 再生医療 / 組織再生 / 免疫制御 / ポリアミン / 足場材料 / 抗炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、免疫拒絶反応を抑制する機能性スキャフォールドを開発し、再生医療における細胞移植効率を向上させることを目的としている。2020年度においては、スキャフォールドの合成と機能評価を行った。ヒアルロン酸や脱細胞化組織由来の生体高分子からなるハイドロゲルにオリゴエチレンイミンを複合化することで、免疫抑制機能を付与したスキャフォールドを作製した。粘弾測定の結果より、添加する架橋剤の量およびマトリックス成分の濃度を変化させることで、ハイドロゲルの力学特性を制御可能であった。得られたスキャフォールドを用いて、マウス骨髄由来初代マクロファージを培養し、リポ多糖で刺激することで、炎症反応に対するスキャフォールドの抑制効果を評価した。その結果、オリゴエチレンイミンを複合化することで、マクロファージから産生される炎症性サイトカインが低減されており、スキャフォールドに抗炎症機能を付与できることが明らかになった。また、オリゴエチレンイミンの抗炎症メカニズム解析をリン酸化アレイを用いて行った。炎症反応関連タンパク質に関するリン酸化アレイによって免疫抑制機構の解析を行い、作用機序の解明を進めた。また、間葉系幹細胞移植の予備実験として、間葉系幹細胞の培養実験を行ったところ、間葉系幹細胞はスキャフォールドに接着、増殖する様子が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究計画である、免疫抑制スキャフォールドの合成と足場機能および抗炎症機能の評価を進めており、当初予定していた項目について結果を得ている。スキャフォールドの合成においては、ヒアルロン酸や脱細胞化組織由来の生体高分子からなるハイドロゲルにオリゴエチレンイミンを複合化することで、免疫抑制機能を付与したスキャフォールドを作製し、架橋剤の量を制御することで、ハイドロゲルの力学特性の制御に成功している。また、得られたスキャフォールドを用いて、炎症反応に対するスキャフォールドの効果を評価したところ、オリゴエチレンイミンを複合化することで、スキャフォールドに抗炎症機能を付与できることを明らかにした。また、間葉系幹細胞の移植試験の予備実験として、間葉系幹細胞の培養実験を行い、間葉系幹細胞はスキャフォールドに接着、増殖する様子を確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、より発展的な研究として、スキャフォールドの免疫抑制能にフォーカスし、免疫制御機能を付与した材料開発を進める。具体的には、材料のかたさや多孔性などの物理的因子と、生体高分子成分の種類やオリゴエチレンイミンの種類などの生化学的な因子の複合的な影響を評価する。抗炎症機能を発現しながらも、間葉系幹細胞の接着や増殖を阻害しない材料組成を明らかにし、免疫抑制スキャフォールドの最適化を図る。さらに、本材料の生分解性や生体適合性を評価するとともに、生体内で免疫細胞とどのように相互作用するかをフローサイトメーターを用いて評価する。これにより、オリゴエチレンイミンの免疫抑制メカニズムを明らかにするとともに、細胞移植用スキャフォールドとしての可能性を探索する。また疾患モデルとして、炎症モデルの作製についても検討を開始する、
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