2020 Fiscal Year Research-status Report
胸部X線動態撮影による特発性間質性肺炎患者の肺局所換気血流の評価
Project/Area Number |
20K20226
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
二階堂 雄文 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20583347)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胸部X線動態撮影 / 特発性間質性肺炎 / 慢性閉塞性肺疾患 / 換気能評価 / 気流速度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性間質性肺疾患をはじめとする慢性呼吸器疾患患者に対する胸部X線動態撮影にて換気能と気流速度の解析を開始した。研究開始にあたり、体位による変化を調べ、今後の解析における測定体位の検討を模索した。 具体的な症例における検討では、特発性間質性肺炎(症例1)、巨大ブラを伴うCOPD患者(症例2)における解析を行った。 症例1 は,77 歳,男性,特発性間質性肺炎である。呼吸機能と肺活量は正常範囲内で,軽度の肺拡散能(%DLCO)の低下のみられる症例である。胸部X 線動態画像による換気能評価では,左肺の換気量が低下しているが, 下葉の病変はそれほど強くなく,体位による変化もほぼ認めなかった。気流速度解析画像は,呼気速度, 吸気速度,速度比(吸気/呼気)を色分けし,画像に重ねて表示するというものである。安静呼吸時の速度比は, 立位と比べて臥位で亢進しており,深呼吸時にはさらに亢進している結果であった。 症例2は,64歳,男性,繰り返す気胸歴があり、両側中肺野巨大ブラのある肺気腫患者で症例である。胸部X 線動態画像による換気能評価では,特に中肺のブラに応じて換気量が低下していた。気流速度解析画像では,安静呼吸時には体位による速度比の亢進は認められず,深呼吸時に速度の低下が認められ,間質性肺炎とは異なる様相を呈していた。 慢性呼吸器疾患、とくに特発性間質性肺炎における肺の局所・換気・血流の評価に用い,病態や進行における新たな有用なパラメータが得られることを期待し, 症例の蓄積を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
慢性呼吸器疾患数例における換気能評価、気流速度評価は開始できたが、新型コロナウイルス感染症流行につき、症例登録における通常の入院精査症例が制限され、登録症例が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,症例の蓄積と経年的な臨床データ蓄積を行い、動態X線撮影により得られる換気能、気流速度と登録時(入院時)のさまざまな情報・検査項目や新たなバイオマーカーなどとの関連と,疾患進行との関係についても評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定した症例数が蓄積できず、関連するバイオマーカー測定数の減少で測定キット費用が大幅に減じたため。
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