2020 Fiscal Year Research-status Report
両手MRI像を用いた関節リウマチ診断のためのコンピュータ支援診断システムの開発
Project/Area Number |
20K20231
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中村 舞 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (50805504)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | コンピュータ支援診断 / 関節リウマチ / MRI検査 / ディープラーニング / 畳み込みニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)は、炎症性自己免疫疾患であり膠原病のひとつとされる。主に関節内の滑膜の炎症から始まり、進行すると骨破壊や関節の変形および硬直を介して、患者の日常生活の動作が制限され、生活の質(QOL)が低下する。これまでRAは難治性の病気として扱われていたが、早期発見・早期治療ができれば寛解を目指すことが可能となりつつあり、RA発症後2年以内に診断し治療を開始することが、患者のQOLを維持するために重要となる。RA診断のために画像診断が実施されるが、画像診断のなかでもMRI検査は骨軟部の描出に優れ、X線画像では描出されない初期の骨病変を描出でき、さらに骨病変の前駆症状である滑膜炎および骨髄浮腫を描出することが可能である。ヨーロッパリウマチ学会よりMR画像の定量評価方法が提唱されたが、このスコアリング法は評価点が非常に多く煩雑な作業であるため、日常の診療に活用されていない。実際の臨床現場ではこの手法を使用せず、読影医の経験に依存しているために、観察する医師によって診断結果が左右される。本研究では、MR画像をコンピュータにて解析し、早期RA病変の存在や広がりを定量評価するコンピュータ支援診断(CAD)システムを開発することをゴールとしている。 初年度である2020年度は、RA診断のために撮像されたMR画像を、113例(男性30例、女性83例)収集した。収集した画像ファイルは連結不可能に匿名化し個人情報を保護し、本研究用の画像データベースを作成した。早期RA病変はMR画像上において手指骨上または手指骨周囲に発症することに注目し、畳み込みニューラルネットワークを用いた骨領域の選択的抽出を検討中である。画像解ソフトImageJを用いて、113例のコロナル画像(T1強調画像)上で骨領域のみを手動で抽出し、マスク画像を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RA診断のために撮像されたMR画像を、100例以上収集することができた。収集した画像データはすべて匿名化し、本研究のための画像データベースを作成した。畳み込みニューラルネットワークを用いた骨領域の選択的抽出を検討中であるが、オリジナル画像上で骨領域を手動で抽出したマスク像に関して正しく抽出できているか、医師との確認作業が必要である。新型コロナウイルス感染防止対策により、臨床現場への立ち入りができず、医師との確認作業を進めることが困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
画像解析ソフトImageJを用いて手動にて作成した骨領域抽出のマスク像と、オリジナル画像の骨領域部分が正しく一致しているかを、医師と一緒に確認していく。しかし、新型コロナウイルス感染拡大は未だ収束しておらず、医師との確認作業に遅れが生じることが予想される。そのため確認作業と同時進行して、畳み込みニューラルネットワークの構築を検討していく。ディープラーニングツールは、ソニー社製Neural Network Consoleを使用する。われわれが作成したマスク像とオリジナル画像を、学習用マスク画像、学習用画像、評価画像に分け、医用画像のセグメンテーションによく使用されているU-Netを用いて骨領域抽出を試みる。
|
Causes of Carryover |
国内および国外の学術大会が、新型コロナウイルス感染拡大によりweb開催となったため、学会出席用の旅費等の予算を執行することができなかったため。
|