2020 Fiscal Year Research-status Report
完全な開放空間を有する走査型PET装置 Scratch-PETの開発
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20K20239
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
岩男 悠真 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員(任非) (40758330)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PET / 走査型PET / モーショントラッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,新たなPET装置であるScratch-PETの基礎技術開発を行う.Scratch-PETとは,被験者の背面に並べたディテクターに対し,対となるディテクターは術者が手に持ち,任意の個所をなぞるように動かすことで,該当箇所のPETイメージがリアルタイムに更新されていく世界初のコンセプトとなるPET装置である.ディテクターを固定せず,あえて自由に動かせる状態にすることで,撮像範囲やアングルに対して高い自由度を有し,かつ必要なディテクターの数を最小限に抑えることで大幅なコストダウンや,広い設置範囲を必要としないメリットがある.こうした特性を活かし,Scratch-PETの術中PETへの応用を提案する. 本年度は,少数のディテクタの性能評価を行い,要求されるToF性能を明らかにするとともに,収集システム,画像再構成システム,およびモーショントラッキングシステムに関する検討,開発を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Scratch-PEの実現に向け,必要となる各種システムの開発が順調に進んでいる. まずは,データ収集システムについて,ToF MPPCモジュール用のデータ収集とコインシデンス処理を平行してリアルタイムに行えるシステムを開発した.シミュレーションによる性能評価を行い,アクティビティが高く,収集のカウントが多い場合も問題なく処理が行えることを実証した. また,収集したデータをもとに,リアルタイム再構成とその画像表示を行うためのビューアの作成を行った.再構成アルゴリズムは逐次近似型画像再構成アルゴリズムであるDRAMA法をもとに,モーショントラッキングによる動き情報を反映可能なよう改良したアルゴリズムを開発し,実装した. 画像表示に関しては,Axial,Sagittal,Coronalの各断面におけるビューに加え,3DによるMax Intensity in Projection表示を実装している.
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Strategy for Future Research Activity |
モーションセンサとして,Optitrack社製のV120Trioというセンサを選定し,すでに購入している.こちらはマーカを貼り付けて使うタイプの赤外線照射型モーショントラッキングシステムであり,まずはこのセンサによる出力をソフトウェア上で取得可能な枠組みの作成を行う. また,ディテクタ表面にマーカを取り付ける方法についても検討を行い,必要に応じて治具の作成を行う.作成には,所属する研究チームの所持する3Dプリンタを用いる予定である. ソフトウェア開発が完了し次第,少数のディテクタを用いた試作機の開発を行い,ファントムを用いた測定実験を行うとともに,ディテクタの配置や個数についてシミュレーションにより最適化を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定では,初年度に実験用のディテクタを購入する予定であった.しかし,まずは研究チーム内で所持していた既存の物品を用いて実験を行うことができたため,ディテクタの購入に至らなかったのが差額の生じた大きな要因である. この差額については,次年度にシステムが完成し次第追加のディテクタを購入し試作機開発を行うために用いる予定である.
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