核医学領域におけるヒトの見え方に基づいた画質評価法の確立

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K20240
• Research Institution: Hirosaki University
• Principal Investigator: 細川 翔太 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (20790554)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: PET / 画質評価 / 標準化

Outline of Annual Research Achievements

近年の急速な技術の進歩によって、核医学領域では各施設の画質の差が拡がっている。従来の画質評価法ではその差を正しく評価することができない。画質を診断医（ヒト）の見え方に基づいて評価することは、各画質を絶対評価する上で有効な手段であると考えられる。本課題では顕著性を用いることで主観に近い客観的評価が可能となると考え、評価法の確立を目指している。
本課題に対する今年度の成果としては、画質評価するための大量の画像をモンテカルロシミュレーションにて取得した。シミュレーションコードであるGATEの操作方法を習得した。シミュレーションの計算にはクラウド上のレンタルサーバーを用い現実的な時間で計算することが可能であった。取得した画像を顕著性算出プログラムで評価し、事前検討と同じ傾向が見られることを確認した。顕著性の妥当性は主観評価の結果と比較することで示した。
顕著性の算出に用いられるパラメータ（色、方向、輝度、ちらつき）の内、方向と輝度を用いることで、画像に含まれる（描出された）信号の形状、視認性を評価可能であることを示し、日本核医学技術学会の学会誌である「核医学技術」に論文投稿し、受理された（掲載は2021年春頃予定）。
顕著性の妥当性を主観評価ではなく、視線追跡デバイスから取得した情報と比較するため環境の構築およびデータ取得のためのプログラムの作成を行い、動作確認をした。2021年度では量的データ（視線情報）と比較し、顕著性の妥当性を示し論文投稿する予定である。

Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

研究費を講習会やオンライン指導料に充てることで、問題解決のための時間を短縮可能であったことが挙げられる。また、事前検討を十分に行っていたため、予想よりも順調にモンテカルロ計算および視線データ取得プログラムの作成を進めることができた。

Strategy for Future Research Activity

顕著性の妥当性を画質評価者の視線情報と比較することで示す。また、新しいＰＥＴ装置に導入されている機能（デバイスレス呼吸同期等）の評価を行うことで、本手法の有用性を示す。

Causes of Carryover

コロナ禍によって学会が中止になったり、出張が制限されたことによる旅費の支出が無くなったことが原因である。今年度はシミュレーションだけでなく、実際のＰＥＴおよびＳＰＥＣＴ装置を用いて取得した画像を対象に評価することを考えているため、ＲＩ検査薬の購入費に充て、実験回数を多くする予定である。