2021 Fiscal Year Research-status Report
機械学習による自動的変数選択をもちいた新しい治療効果推定手法の提案
Project/Area Number |
20K20247
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
加葉田 大志朗 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (40793435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 因果推論 / 傾向スコア / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
因果推論における局外関数の推定に機械学習手法を応用することで,高次元の研究対象者の特性(共変量)を考慮できるというメリットがある一方,関心のある処置の効果推定に必要な情報の削減,局外関数の過適合によって平均処置効果推定量にバイアスが生じるデメリットがあることが知られている.これらのデメリットを低減させるために,計量経済学分野においてdouble/debiased machine learning(DML)推定量が提案された.このDMLは,従来の機械学習を用いた因果推論推定量に比べて優れた性質をもつと考えられるが,臨床研究に応用する際には課題が残る.処置変数に関する局外関数である傾向スコアモデルを推定する際に,lassoなど従来の機械学習手法を利用した場合,処置にのみ関連の強い因子(操作変数)が選択される可能性がある.従来の機械学習で操作変数の影響を強く考慮した傾向スコアモデルは処置変数を良く説明するが,関心のある平均処置効果推定量の分散やバイアスを増加させる恐れがある.臨床研究では操作変数など先験的に特定することは現実的に困難である.従って操作変数が存在するような状況においても,変数選択により頑健な推定量が利用できることが好ましい. 本年度は,上記の問題を改善すべく,以下の2点を目的として研究を行った. (目的1)結果変数に強く関連する因子を優先的に考慮した傾向スコアを利用しつつ,DML推定量の漸近的性質を損なうことがないoutcome-adaptive DML推定量を提案し,そのパフォーマンスを評価すること. (目的2)上記提案手法の臨床観察研究へ応用すること.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1,目的2ともに,手法提案論文と臨床応用論文としてまとめ,以下の通り国際誌に採録されたため. (目的1に対する成果)DML推定量に結果変数に関連の強い因子を考慮した局外関数推定量を組み込み,操作変数の存在にも頑健な平均処置効果推定が可能なoutcome-adaptive DML推定量を提案し,シミュレーション研究によってその有用性を示した. Daijiro Kabata & Mototsugu Shintani (2021) Variable selection in double/debiased machine learning for causal inference: an outcome-adaptive approach, Communications in Statistics - Simulation and Computation, DOI: 10.1080/03610918.2021.2001655 (目的2に対する成果)outcome-adaptive DMLを臨床研究に応用し,抗凝固剤の利用の脳出血発生時の出血領域への影響を推定した. Gon Y, Kabata D, Mochizuki H. Association between kidney function and intracerebral hematoma volume. J Clin Neurosci. 2022 Feb;96:101-106. doi: 10.1016/j.jocn.2021.12.022. Epub 2022 Jan 12. PMID: 35032897.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,当該年度で提案したoutcome-adaptive DML推定量をさらに拡張することを目的とする.特に局外関数推定に利用するための機械学習の選定に対して頑健性を持たせた推定量の提案を目的として,実験と論文執筆を進める予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)残額が少額につき有効に活用することが難しかったため. (使用計画)次年度財源と併せて,実績につながるよう活用する.
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