2020 Fiscal Year Research-status Report
人工心肺使用中の溶血防止に資するローラポンプ適正圧閉度の解明と調整システムの開発
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20K20248
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
深谷 碧 東北文化学園大学, 科学技術学部, 助教 (20826060)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 圧閉度 / ローラポンプ / 人工心肺 / 溶血 / 急性腎障害 / 血液損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓手術に用いられる人工心肺装置のローラポンプは圧閉度と溶血が関係し、過度圧閉や不完全圧閉はともに溶血を引き起こす。しかし、ローラポンプの圧閉度調整方法に国際的な基準はなく、血液にどの程度の機械的ストレスが加わっているかは不明のままである。よって、ローラポンプを用いた体外循環における溶血を防ぐためには、近年の血液適合性に基づいた医工学的定量評価が求められている。そこで、ローラポンプの適正な圧閉度の解明と圧閉度自動調整システムの開発を目的として研究を行っている。 ローラポンプによる血液への機械的ストレスには、せん断速度やせん断応力、せん断応力の暴露時間が関係しており、これらの算出には圧閉されたチューブ内部の流路形状と流体速度の計測が必要である。そのため、圧閉部からの逆流量と圧閉されたチューブ内流路形状を可視化する圧閉度定量評価システムを構築する。次に、ローラポンプと小型循環試験回路を用いた加速循環試験条件における溶血量を評価し、圧閉度定量評価システムから得られた結果と溶血との関連性を検討する。さらに、リアルタイムで圧閉度を自動調整できるシステムを開発する。現在、圧閉部からの逆流量評価と圧閉されたチューブ内部の3次元流路形状構築に成功し、解析した。また、ヤギ血を使用してin vitro溶血試験を実施し、圧閉度を変化させたときの溶血への影響を検証している。残りの期間で、ローラに押圧されたチューブの画像より、リアルタイムで圧閉度を自動調整できるシステムの開発を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ローラポンプの圧閉部からの逆流量評価と圧閉されたチューブ内部の3次元流路形状構築に成功した。また、ヤギ血を使用してin vitro溶血試験を実施し、圧閉度を変化させたときの溶血量変化を捉えることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験より、圧閉度はポンプチューブのコンプライアンスや繰り返し負荷暴露時間の差によって経時的に変化することが認められた。また、in vitro 溶血試験では圧閉度を変化させたときの溶血量がチューブの種類によって異なる傾向を示した。よって、次年度は、初期の圧閉度に加えてチューブ材料特性による溶血への影響を解析し、適正な圧閉度を評価する。
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Causes of Carryover |
研究が順調に推移し、消耗品などの消費が抑えられたため。 新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、旅費、人件費が抑えられたため。
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