2021 Fiscal Year Research-status Report
人工心肺使用中の溶血防止に資するローラポンプ適正圧閉度の解明と調整システムの開発
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20K20248
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
深谷 碧 東北文化学園大学, 工学部, 助教 (20826060)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 圧閉度 / ローラポンプ / 人工心肺 / 溶血 / 急性腎障害 / 血液損傷 / 合成高分子 / 疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である、ローラポンプの圧閉度が血液に及ぼす機械的ストレス解明をするために、圧閉度定量評価システムを開発した。このシステムは、リニアアクチュエータ、アクリルで作製したローラとレースウェイ、模擬血液粉末で着色した溶液、3/8 インチの塩化ビニルチューブを用い、ローラで圧閉されたチューブ内赤色濃淡画像をカメラで撮影し、数式処理システムにて流路形状を構築するシステムである。開発したシステムにて、マイクロオーダーのチューブ内流路3次元形状構築と圧閉部からの逆流量が同時に定量評価可能となった。 このシステムを用いて圧閉度を定量評価したところ、圧閉度は繰り返し負荷暴露時間の差によって経時的に変化し、適正圧閉に調整してもローラポンプ駆動から5分経過すると過度圧閉に近い状態になることが明らかになった。また、圧閉度の経時変化はポンプチューブのコンプライアンスの差異によっても異なることが明らかになった。 そこで、チューブ材料の差異による繰り返し負荷前後のチューブ内流路形状と圧閉部の流量特性を定量評価し、溶血との関係を調査した。その結果、チューブ材料の差異により繰り返し負荷前後のチューブ内流路形状の変化は一様ではないことが明らかになった。また、in vitro血液循環試験では、コンプライアンスが高いチューブほど血漿遊離ヘモグロビンが低値示すデータを得た。このことから、ローラポンプの圧閉度が血液に及ぼす機械的ストレス解明をするためには圧閉度だけではなく、チューブ材料の力学的性質を考慮する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ローラポンプによる溶血は初期の圧閉度だけではなく、ローラポンプチューブ材料の力学的性質が関係していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
力学的性質が異なる複数のローラポンプチューブにてin vitro血液循環試験を実施し、溶血を評価する。溶血が多いローラポンプチューブと溶血の少ないローラポンプチューブを比較し、チューブ材料の力学的性質と血液損傷の関係を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、旅費、人件費が抑えられたため、一定額を次年度に繰り越した。
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