2021 Fiscal Year Research-status Report
Causes of car pedal switching errors in the elderly people: from exercise physiology
Project/Area Number |
20K20253
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Research Institution | 福井医療大学 |
Principal Investigator |
藤田 和樹 福井医療大学, 保健医療学部, 准教授 (20649686)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自動車事故 / 踏み違い / 高齢者 / 筋電図 / 運動学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高齢運転者における緊急ブレーキ時の下肢関節の運動性と筋活動を明らかにした。研究の対象者は、日頃から運転をしている後期高齢者10人と若年者11人とした。被験者の身体には慣性センサーによる動作解析装置とワイヤレス表面筋電計を装着した。緊急ブレーキ操作の測定には、踏み替え実験用ペダルを使用し、眼前に設置した三色LEDライトを20~30秒間隔で無作為に点灯させ、赤色で急速な踏み替えとした。測定は5分間連続で、計3セット施行した。各セットから1試行分のブレーキ操作を抽出し、ペダル上の圧センサーからのシグナルによってアクセルリリース相と踏み替え相に分けた。統計は、3試行分の筋活動と運動学データの平均値に対し、高齢者と若年者間で差の検定を実施した。 結果として、高齢者はアクセルから足が離れた後にブレーキに到達するまで(踏み替え相)に時間的遅延が認められた。動作全体を通して、両群ともに前脛骨筋の著明な活動性増加を認めたが、高齢者ではヒラメ筋の活動性も同時に増加していた。また高齢者の大腿直筋では活動開始の遅延が認められた。関節運動に関しては、両群ともに股・膝関節の屈曲が認められ、高齢者では股関節内転速度が遅く、一方で股関節内旋角度は増大していた。 ブレーキングでは前脛骨筋が主動作筋となるが、高齢者では拮抗筋であるヒラメ筋の活動性が増加しており、状況によっては足関節背屈が阻害される可能性がある。高齢者のブレーキングは、股関節内転による足部のスライドよりも、股関節の内旋によって足先を回旋させる傾向であった。これは、股関節屈曲作用のある大腿直筋の機能性低下によって、足底に加わる圧の解放が困難であったことが影響した可能性がある。このような加齢による運動制御の変化は、足の不正確な軌跡を引き起こし、ペダルエラーの発生に関連している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、高齢者を実験対象としているため、新型コロナウイルス感染予防の観点から実験が実施できない期間が多い。したがって、当初の予定よりも被験者数は限られているが、そのなかであっても論文の公表が出来ている為、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究内容の変更はせず、感染対策を徹底したうえで、被験者を募集していく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染予防の為、実験数が減少し、研究協力者への謝礼、アルバイト雇用費、消耗品費が減少した為。令和4年度は、実験数が増加することが予想される。
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