2021 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイムで達成動機の変化を捉える―帰属理論による発話分析手法の開発
Project/Area Number |
20K20257
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大橋 匠 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (20824551)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発話分析 / 帰属理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚弱な高齢者のQoL向上や介護者の負担低減の観点から、福祉デバイス開発への期待は高まる一方、高齢者への負担の大きさから、複数回ユーザーテストを実施するのが難しい。限られた機会から効率的に知見を引き出す方法が求められる。本研究では、これまで十分に活用されてこなかったユーザーテスト中の発話データに着目し、認知心理学の帰属理論を基盤とした発話分析法を開発し、リアルタイムにユーザーの達成動機の変化を推定することを目指す。これまで、帰属理論をリアルタイムな発話分析に応用する理論の構築に注力した。具体的には、高齢者による福祉デバイスのユーザーテストをケースとし、その 際に取得した全ての発話データを帰属理論に基づく4つのカテゴリ(能力、努力、タスクの難しさ、運)に分類した。その分類の時間的遷移を追跡することで、ユーザーにとって特徴的な場面を簡便に抽出できる可能性を示した。特に、カテゴリが変化する場面を抽出することが、ユーザーの特徴的な体験を抽出することにつながることが示唆された。このように、膨大な発話データから特徴的な体験のみ抽出することが可能になれば、それをデバイス開発者側へ簡便にフィードバックできるようになり、短期間での福祉デバイス改善につながるだろう。以上のように、これまでに提案手法の福祉デバイス開発への応用可能性を示した。 一方、COVID-19の拡大により、介護施設への立ち入りおよび実験実施・データ取得が困難となった。そのため、これまでの成果を土台とし、COVID-19という制約下においても、本研究を発展させるために、実験可能な文脈に落とし込む必要がある。そこで本年度は、原因帰属理論自体は元来、教育場面で発展してきた理論であることを踏まえ、研究を学術的に発展させるべく、また、確かなニーズがある領域で本研究成果を活かすべく、応用先を教育工学分野へ変更するべく、検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の拡大により、介護施設への立ち入りおよび実験実施・データ取得が困難となり、当初の研究計画からは遅れが生じている。前述の通り、本研究を発展させるべく、帰属理論による発話分析の応用先の変更について、本年度は検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究成果の教育工学分野への応用を念頭に置き、研究計画の刷新と実行を行なっていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19による実証実験遅れのため。次年度は教育工学分野への応用に向けた実験計画・実施の際に活用する。
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