2023 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイムで達成動機の変化を捉える―帰属理論による発話分析手法の開発
Project/Area Number |
20K20257
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大橋 匠 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20824551)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 原因帰属理論 / 支援機器 / 発話分析 / 達成動機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少子高齢化が進む現代社会において、虚弱な高齢者の身体機能を補助し、社会参加を促進する支援機器の開発に焦点を当てている。特に、高齢者の負担を軽減しつつ、潜在的ニーズを効率的に抽出する方法を模索し、支援機器利用時の自然な会話から達成動機の変化をリアルタイムで可視化することを目指した。 本研究では、電動アシスト付き四輪自転車を用いた実証実験をケーススタディとして行った。原因帰属理論を援用し、被介助者の帰属先を推定する発話分析手法を開発した。この手法により、発話ごとに被介助者の帰属先を推定し、その変化を可視化することが可能となった。加えて、介助者と被介助者のインタラクションに対して、SCAT (Steps for Coding and Theorization)を用いて分析を行った。この分析により、どのような声がけが被介助者のどのような帰属先へのシフトを促すかを検証した。 分析の結果、介助者の発話は「褒め」「肯定/承認」「確認」「助言」の4つの類型に分類され、それぞれが異なる原因帰属を促すことが明らかになった。例えば、「確認」の発話は被介助者の「能力」への帰属を促し、「助言」の発話は「努力」への帰属を促す傾向が見られた。このように、介助者の発話が被介助者のモチベーションや行動にどのような変化をもたらすかを明らかにすることができた。 本研究の意義は、介助者の発話を通じて被介助者の動機づけを高め、行動を促進するメカニズムを明らかにした点にある。これにより、支援機器の利用が促進され、高齢者がより快適に社会参加できる環境の整備が期待される。また、介助者の言語的介入の有効性を示すことで、介護現場やその他の福祉分野におけるコミュニケーション手法の改善にも貢献し得る知見を提供できたと考えている。
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